line decor

 第9回大会のご報告

line decor

言葉から考えるアクティブ・ラーニング
 アクティブ・ラーニングとは,主体的,協働的な学びであり,実践ということを強く意識した学びです。いわば「さらなる言語活動の充実」ともいえるでしょう。ワークショップ4では,言葉との関連から,「学びを支える言葉の力」「考える切り口としての言葉のおもしろさ」「コンパクトに書く」という三つの提案がされました。

ワークショップの流れを紹介します。
アクティブ・ラーニングとその課題  
アクティブ・ラーニングとその課題
 まずは,森山先生から,なぜ今アクティブ・ラーニングが求められるのか,そして,そこにどんな課題があるのかについて解説がありました。アクティブ・ラーニングが目的とするのは,主体的,協働的,実践的な学びです。そのためには,学びを支える言葉の力(言葉の基礎体力)や,学び深めが欠かせません。しかし,「アクティブ・ラーニング」を形だけ取り入れようとすると,つけたい力が不明確なまま活動を行ったり,「協働」の言葉の下に子どもが他人まかせに活動してしまったりするなど,学びの形骸化が起きることもあります。また,全国学力・学習状況調査の分析からは,「言語操作力」の不足という課題が明らかになっています。それでは,「言葉の力をつける」「学び深める」という二つの課題に,私たちはどう取り組んでいけばいいのでしょうか。

言葉を切り口にアクティブな学びをつくる  
言葉を切り口にアクティブな学びをつくる
 ここで,学びを支える「言葉の力」をいかに身につけていくか,言葉を切り口として学び深めるにはどうすればよいのか,提案がありました。一つ目は,子どもと一緒に評価の言葉を考えるという提案です。ただ「よかった」ではなく,いろいろな言葉を挙げさせることで,子どもと評価の観点を共有します。評価の観点は,子ども自身の振り返りの観点ともなります。二つ目は,言葉に着目して読みを深める提案です。「わらぐつの中の神様」では句読点,「走れメロス」では特定の動詞,他にも,「やまなし」「こころ」といった教材をもとに,特定の言葉を切り口として,作品全体を読み深めます。場面で区切って読み込む学習ではなく,言葉を一つのきっかけや課題とすることで,作品全体を主体的に読んでいく学びをつくることができます。これは,文章の内容の読み取りだけでなく,その内容がどのような表現で書かれているかを意識的に読むという,国語ならではの学びにつながります。
コンパクトに書いてみる  
コンパクトに書いてみる
 さて,こうした読みをどのような言語活動につなげればよいのでしょうか。森山先生からは,「コンパクトに書く」という活動の提案がされました。短い文章でたくさん書くことで,書くことへの抵抗感をなくし,表現力の向上が期待されます。その例として,はがき新聞を使ったワークショップが行われました。簡単な枠を設け,「わらぐつの中の神様」で着目した句読点の使い方について,新聞を書きます。コンパクトなはがき新聞を使うことで,気軽に,短い時間で情報を発信する経験を積むことができます。また,言葉に着目して読むことで,子どもたち自身が書くときの意識を高めることもできます。
アクティブな学びの実際







アクティブな学びの実際
画面をクリックすると別ウィンドウがひらきます。
 
アクティブな学びの実際
 ここまでの森山先生の提案を受け,達富先生からコンパクに書く活動を取り入れた二つの実践事例が紹介されました。一つ目は,5年「大造じいさんとガン」を教材とした単元です。まずは,教科書に示された「たいせつ」をもとに,子どもにとって魅力ある言語活動を設定します。達富先生が設定したのは,過去に朝日新聞に連載のあった大岡信氏の「折々のうた」を参考に,「折々の名文」を書くという言語活動です。つぎに,学習計画。旧来の場面ごとに読むという計画ではなく,「『折々の名文』を書こう」というプロジェクトの順番で組んでいきます。また,ゆるやかな枠組みで計画を設定することで,子どもの個人差などにフレキシブルに対応できるようにします。ここで,実際に達富先生の授業で子どもたちが書いた「折々の名文」が紹介されました。子どもたちの読みの視点,語彙,書きぶりに参加者の先生方からも思わず感嘆の声が漏れました。子どもたちは大岡氏の書きぶりをまねることで,普段の自分よりも少し背伸びした言葉を使い,自分なりの読みを文章として表現することができるのです。二つ目は,6年「海の命」。朝日新聞の人物紹介コーナー「ひと」を参考に,登場人物どうしのつながりをコンパクトに書くことを言語活動とします。評価語彙集などを用意し,環境を整えます。子どもたちの書いた「ひと」を目にし,参加者の先生方からは,またもや感嘆の声。
 一つの発問で当てられる子どもは限られる,しかし,コンパクトに書く言語活動を設定することで,30人全員が考え,学び深める,学び浸る学習ができると,達富先生が熱く語ります。
学びどき,教えどきを逃さない  
学びどき,教えどきを逃さない
 最後に,達富先生が行っている,重要な二つの授業のしかけが紹介されました。一つは,学習課題。達富先生は,学習課題を「①指導事項②具体的な思考操作③言語活動」の三つで構成しています。たとえば,5年「大造じいさんとガン」の場合,「動物物語(椋鳩十)から心ひかれる名文を選び,その名文を他の表現と比べて,その名文の表現の効果について自分の考えをまとめる。」となります。学習課題に「その名文を他の表現と比べて」という具体的な思考操作を加えることで,子どもの活動がぐっと深まります。二つ目は,学習モデルを示すこと。よいモデルを示すことで,どんな子どもでも学習に入っていくことができます。さらにモデルを参考によりよい言語活動を行うことができます。教材研究に,学習計画,学習課題,学習モデルを加えること,それが,学びどき,教えどきを逃すことのない授業の作り方だと,力強いお話がありました。参加者の先生方の心も頭もアクティブになった,あっという間の2時間でした。
【講師の先生のひとこと】
森山卓郎先生  
森山卓郎先生
 今回も時間いっぱいになってしまいました(達富さんごめんなさい)。①アクティブ・ラーニングのポイントとその課題についての確認,②アクティブに学びを進めるための具体的切り口としての「言葉」の大切さとおもしろさ(「文学の読むこと教材」の学習を中心に),③コンパクトに書くワークショップ(少し時間が足りませんでしたが・・・),という部分を担当しました。ご参加の先生方に感謝!です。
達富洋二先生  
達富洋二先生
 今回も魅力いっぱいのワークショップでした(森山さんありがとうございます)。①「文学の読むこと教材」での言葉を見つめることからはじめるアクティブ・ラーニング,②コンパクトに書く実践事例,という部分を担当しました。ご参加の先生方の熱いまなざしに感激!です。