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 第10回大会のご報告

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「ことば」を切り口に学びを見直してみませんか―学習課題と評価のレシピ
 子どもが主体的・協働的に「ことばを見つめ,ことばで考え,ことばで表す」学習を進めていくとき,単元のはじめに設定する「学習課題」と,単元の過程および振り返りのときに行う「評価」が重要です。本ワークショップでは,言葉に着目した学習課題とその評価について,具体的な作品や実践例を通して考えました。

ワークショップの流れを紹介します。
課題の構造化を  
課題の構造化を
 「森山,達富でーす!」まるで漫才コンビのように息の合った二人の挨拶から,ワークショップが始まりました。最初は森山先生のお話から。今回は,アクティブラーニングを成立させるための課題解決的な学習に,言葉の視点から迫る2時間になるそうです。課題に着目するのは,真正な「ほんまもの」の学びを作るため。そのためには,単元全体を通した大課題と,時間ごとの活動を示す小課題との間をつなげる「中課題」を考えることが重要です。例えば,「『ごんぎつね』の壁新聞を作って誰かに作品を紹介する」という大課題を設定した場合には,「登場人物の人物像を考える」「あらすじをまとめる」などの中課題が想定されます。言葉にまつわる様々な興味深い知識なども交えながらのお話に,参加者のみなさんが引き込まれていきます。

言語活動とつけたい力をつないで  
言語活動とつけたい力をつないで
 会場が熱を帯びてきたところで,達富先生にバトンタッチ。なんと「ひらく会」初のクリッカーが登場しました。質問を参加者に投げかけ,双方向でやりとりしながらワークを進めていきます。参加者のみなさんが,「学習課題」「グループ学習」「評価」に課題意識を持っていることが見えてきました。「『ごんぎつね』なら次のうちどの言語活動をしますか。」という質問では,「ごん日記」が一番の人気を集めました。もちろん,どんな活動を選んでもよいのですが,それがつけたい力とぴったりと合っているかが重要です。さらに大切なのは,つけたい力と言語活動を丁寧につなぐこと。「考えなさい」「想像しなさい」だけでは子どもは動けません。「登場人物の気持ちについて考えなさい」だけではなく,「手がかりとなる表現と表現を比べて」など,どう考えればよいかを示せば,子どもは自然と動き出します。日々の実践の大きなヒントとなりそうな提案に,参加者も真剣なまなざしで聞き入ります。

言葉に着目した読み取りの課題を  
言葉に着目した読み取りの課題を
 ここで,森山先生の再登場です。定番の教科書教材について,読み取りの課題を具体的に考えます。「ごん」と「きつね」,「旦那様」と「シュンちゃん」などの人物呼称の観点から人物の描かれ方を考える,人物と人物の関係から人物の描かれ方を考えるなど,人物像を中心に,着眼点を教えていただきました。評価をする際には,こうした課題を文章化させます。その際,「海の命」ならば「『命』と『しかも』を使って書いてごらん。」など重要な言葉や接続詞を指定する方法も有効だそうです。
 さらに,ワークとして,俳句を使った実践のアイディアが紹介されました。下の句を隠して俳句を示し,クイズのようにして解説文を書く活動です。参加者のみなさんも,楽しそうに取り組んでいました。

学習課題を3フレーズに

学習課題を3フレーズに ※画面をクリックすると別ウィンドウがひらきます。

 
学習課題を3フレーズに
 森山先生の読み取り課題の面白さを体感したところで,達富先生の再登場。単元全体を覆う学習課題について,実践とともに熱く語ります。達富先生提案の学習課題の特徴は,三つのフレーズで構成されていること。第1フレーズに指導事項,第3フレーズに言語活動。さらに,第2フレーズとして,思考操作を位置付けます。教えなければならないことと,やることの間に,考え方を示します。例えば,小学校1年の説明文教材「くちばし」。非常に短い文章なので,発問を繰り返すだけでは10分で終わってしまいます。ところが,本文の情報を色分けし,それを違う順番で言ってごらんという課題を出すと,子どもたちは一生懸命考えだします。
 他にも,「大造じいさんとがん」「海の命」「走れメロス」の定番教材と新聞のコラム,投書欄などを結び付けた学習課題が紹介されました。参加者のみなさんが夢中でメモを取ります。

ますます元気に!  
ますます元気に!
 森山先生,達富先生の楽しく面白いお話に,あっという間の2時間が過ぎました。まだまだ時間が欲しいところですが,お二人から最後の挨拶です。「つける力がとても大切。そこを大事にしたうえで,いろいろな活動のアイディアを出し合っていけたらと思う。」と森山先生。「語彙が人間関係を作り,語彙が学びを作っていきます。語彙が読みを作っていくことが実感できるのも,単元学習のよいところ。」と達富先生。
 最後に,「ますます元気になっていい実践をしたくなった方!」という問いかけに,会場からは大きな拍手が沸き起こりました。
【講師の先生のひとこと】
森山卓郎先生  
森山卓郎先生
 「活動」の在り方を,活動課題,内容課題という側面から考えました。俳句などを例に,そして,「言葉」に軸足を置いて,課題解決型の読みについて一緒に考えていただきました。読むことの広がりと楽しさを教えていただきました。
達富洋二先生  
達富洋二先生
 「単元設定」の在り方を,学習課題,グループ学習,評価から,考えました。「ごんぎつね」や「くちばし」などを例に,単元学習的な展開について紹介しました。授業を創ることの魅力と奥深さを,クリッカーを使いながら共有することができました。