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 第9回大会のご報告

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説明的な文章を主体的に読み取らせる指導法の工夫─テスト問題を作ろう
 子供が「考えたくなる」授業として,主体的な学習を中心とした授業づくりが多く実践されています。本ワークショップでは説明的文章を題材に,子供たちが主体的に授業に取り組む実践として,子供たちに「テスト問題を作らせる」活動を紹介しました。
 さらに事例の紹介後には,実際に平成28年度から使用する教科書の教材から,活用型の「テスト問題作り」を体験していただき,主体的な学習を可能にするための発問について考えました。

ワークショップの流れを紹介します。
説明的文章における主体的な学習とは  
説明的文章における主体的な学習とは
 はじめに,講師の田中先生から,主体的な学習が求められる中,説明的文章の教材では「文章に何が書いてあるか」を読み取る習得型の授業に陥りがちであるとのお話がありました。
 では,説明的文章における主体的な学習とはどのようなものでしょうか。田中先生は,「自分で必要な情報をそこから読み取る,読み取った情報から考える,それこそが主体的な読みです。」と語ります。子供たちに主体的な読みをさせるための発問について,講義では深めていきました。
実践事例「テスト問題を作ろう」  
実践事例「テスト問題を作ろう」
 次に,石川先生から,主体的な読みを実現させる発問の実践事例が紹介されました。
 子供にテスト問題を作らせるというユニークな授業は,「グループで問題を作ることでわからないところを助け合い,お互いに指摘しあって吟味することで読みが深まるのではないかという考えを元にして生まれた。」と石川先生は語ります。実際に子供たちが作った問題や,定期試験で石川先生が出題した問題も紹介され,参加者はメモを取りながら熱心に耳を傾けていました。

グループで協力して,テスト問題を考える  
グループで協力して,テスト問題を考える
 いよいよ,実際の教材文を使ったワークです。参加者はグループを作り,実際に主体的な学習を導くための問題作りに挑戦しました。問題作りには,「ダイコンは大きな根?」と「幻の魚は生きていた」(共に光村図書・1年)のどちらかをグループで選び,問題2問とその解答例を作成していただきました。
 限られた時間の中で,参加者は子供が「考えたくなる」問題に苦戦しながらも,グループで力を合わせて問題作りに取り組んでいました。そこかしこで熱心な話し合いが繰り広げられ,話し合いに熱が入り,盛り上がるほどに作業時間が足りず苦戦したグループもあったようです。

グループからの発表  
グループからの発表
 ワーク後は,発表の時間です。作成した問題をグループごとに発表しました。同じ教材を題材にしていても,グループによって切り取る部分はそれぞれで,子供に身につけさせたい能力と目的に合わせ,問題の内容も大きく異なっていました。
 発表時には,「筆者の主張を読み取らせつつ日常の具体例を挙げさせたい」と問題作成の意図について詳しく掘り下げて語る班もあり,参加者もうなずいたりメモを取ったりしながら,他のグループの発表を真剣な表情で聞いていました。
 また,中にはユーモアセンスにあふれたユニークな問題もあり,場が沸く場面もありました。

まとめ
 最後に,本ワークショップの結びとして,田中先生から「問題作りを子供にやらせることは文章をしっかりと読ませるための一つの方法論である」としつつ,説明的文章を主体的に読ませるために注意すべき点が挙げられました。それは,筆者の考えを疑わず,そのままコピーするように頭に入れるのではなく,問題提起を行って考えながら読ませることが必要であるということです。
 「授業に発問を取り入れていくことで,子供たちが文章を深く読むこと,自分の考えをもつことにつなげてほしい」という言葉に参加者は改めて発問の重要性を感じたようでした。
【講師の先生のひとこと】
田中洋一先生・石川俊一郎先生  
田中洋一先生・石川俊一郎先生
 過去3回の古典のワークショップを変更し,「読むこと」に焦点を当てたワークショップとしました。
 「説明的文章を主体的に読む」というワークでしたが,学習活動の紹介と,先生自身が「テスト問題を考える」という内容は,実は授業中の発問・指導を考えることにつながるダブルミーニングのワークショップでした。初見の説明的文章から短い時間での作問でしたが,和やかな雰囲気の中の各グループの発表は,すぐにでも実際に実践できるものばかりで,勉強となりました。ありがとうございました。