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 第9回大会のご報告

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明日につながる単元のまとめ方――言語活動の成果をどう評価し活用するか
 充実した活動をしたあと,どうすることが次につながる「学び」になるのでしょうか。また,教師自身の「言語活動を評価する力」はどうやってつけていけばいいのでしょうか。
 本ワークショップでは,具体的な実践例をもとに,コメントのしかた・評価の観点・板書等,「単元のまとめ方」の基本的な考え方や方法を学びました。また,俳句の創作をとおして,考えの足跡が残る言語活動を体験することもできました。

ワークショップの流れを紹介します。
なぜ,評価なのか  
なぜ,評価なのか
 「今日は,いちばん大切な『評価』についていっしょに考えましょう。」という藤森先生の呼びかけから始まった本ワークショップ。
 甲斐先生からこのテーマに至った経緯が語られます。言語活動の充実・主体的な学びについては,現場に浸透してきたことを実感するという甲斐先生。いっぽうで、「果たして力はついているのか。」という問いを常にもっているとのこと。これには,多くの先生が深くうなずきます。
 そのような中,甲斐先生が実践をとおして得たことは,単元の最後に「講評の時間」をもつことの大切さだといいます。
子どもたちの学びを言葉にする「講評の時間」  
子どもたちの学びを言葉にする「講評の時間」
 「講評の時間」とはどのような時間でしょう。甲斐先生の具体的な実践をもとに見ていきます。
 例えば,「読むこと」のポイントは,「作品・文章を語る語彙」。「おもしろかった」「すごいよね」から,「心情変化が読者の心を打つ」「脇役が鍵になっている」といった「語る」レベルになるには,教師がそれらの言葉を与えるだけでなく,子どもたち自らが使用できるようになる必要があります。
 そこで,甲斐先生は,活動をとおして出てきた生徒の表現を単元の最後に講評する時間をとっているそうです。生徒全員分の「よい表現」を抜き出し,上段に生徒の表現を,下段にそれを一般化した言葉を示して配布します。これにより,子どもたちは学びの達成感を得るとともに,次の「読むこと」に生きる語彙を獲得できます。さらには,友達の表現からも学べるという教室の基礎を築く役割も果たせるといいます。
 教師の仕事は,学びの場の提供にとどまってはいけない。「何を学んだか」を言語化するという作業をすることが,学びの蓄積に結び付く。甲斐先生の生徒に対する深い愛情と,先を見据えた指導の姿勢がうかがえました。
 まとめとして,実際に生徒の鑑賞文を講評する活動を行い,藤森先生にバトンタッチです。
学びを「広げる」「深める」「高める」
 
 
 
 
 
学びを「広げる」「深める」「高める」
 
 
 
 
 
学びを「広げる」「深める」「高める」
 
学びを「広げる」「深める」「高める」   俳句作りを通して
 まずは,初対面の4人グループを作ることから始まります。藤森先生のワークショップでは,グループでの俳句作りをとおして,活動の中の学びを見つけること,次の学びにつながる振り返り,そして友と学ぶ意義について体感していきます。
 藤森先生が示す四つの俳句。どれもすてきな作品ですが,うち二つは高校生と教師が30分で作ったものというから驚きです。たった30分で作るために活用するのがBマップです。
 Bマップはちょうの形をした思考ツールです。4枚の羽に,俳句作りの手順が示されています(画像参照)。実はこれ,「情報を集めて共有」「観点を決めて選ぶ」「情報を吟味し,取捨選択する」「創造をする」という学びの過程になっています。
 グループごとにBマップが配布され,俳句作りの開始です。どのグループも,初対面の4人とは思えないほど盛り上がっています。これは,個々が出した「あるある」を集めて共有し,多くの人に支持されそうという観点で選ぶことにより,共感性が生まれるためでしょう。「絞る」作業は,隣のグループの代表者が行います。他者からの吟味と位置づけがなされることで,自分たちの思考が深まるそうです。最後に季語を添えるのですが,実は,ここまでは季語が分かっていません。羽に貼られた付箋をはがすと,グループごとに違った季語が現れます。驚きや戸惑いの声も揚がりましたが,さすがは先生方。どのグループも見事に俳句を仕上げていました。
 グループごとに俳句を発表していくと、聞き手から「ああ」という共感と賞賛の声がもれます。藤森先生は,その一つ一つに講評を添えます。「子どもが気づいていないよさを引き出すのが教師の仕事」という考えを実践してくださいました。これは,甲斐先生のお話とも重なる部分です。
 まとめとして,学びには「広げる(情報を集める)」「深める(問いを立てて踏み込む)」「高める(新しい発見をする)」があるという藤森先生。ただ俳句を作るのではなく,この三つを意識しながら活動することが大切だと言います。そして,単元を振り返ったとき,自分たちの言葉で「何を学んだか」を述べられることがよいとのこと。Bマップには学びの軌跡が残っているので,その点からも活用できます。活動を体験することで,多くの気づきが実感とともに得られた時間となりました。
質疑応答  
質疑応答
 最後は,藤森先生・甲斐先生への質問タイムです。実践豊富なお二人に質問できる機会に,次々と手が挙がります。
 特に甲斐先生の「講評の時間」については,実際の方法や読むこと以外の例など,より具体を知りたいという質問が相次ぎ,先生方が「よりよい評価の在り方」に悩みながら真剣に取り組まれていることが伝わってきました。甲斐先生と藤森先生の回答からは,生徒一人一人に向き合い,どうあってほしいかという観点をもって接していることがうかがえ,会場は深いうなずきにあふれていました。
今後,ますます重視されるであろう「評価」。最初の藤森先生の呼びかけどおり,その在り方をじっくり考えられた2時間でした。
【講師の先生のひとこと】
藤森裕治先生  
藤森裕治先生
 単元の終わりにどういう評価をすればよいかという課題意識のもと,二つのワークショップを体験していただきました。全国各地から参加された先生方,教師を目指す学生の皆さん,教育関係の出版社の方々と,楽しく充実した時間を共有することに歓びを覚えます。参加した全員に元気になっていただくことが,こちらにとって何よりのご褒美です。ことばと学びの場で出会うことが,明日の糧になることを祈ります。
甲斐利恵子先生  
甲斐利恵子先生
 私たち教師は子供たちがいきいきと学ぶ場を設定しなければなりません。
 しかし,それだけでいいのか,というのが今回の出発点でした。「単元の終末」「講評」について真剣に向き合うことのできた楽しい時間でした。