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 第9回大会のご報告

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今さら人には聞けない国語の授業入門・小学校
 この講座では,「話すこと・聞くこと」「書くこと」の表現単元の授業づくりについて,単元の大まかな流れや話型・作例の活用法など,具体的な教科書教材を例にしてお話しいただきました。

講座の流れを紹介します。
今さら聞けない,けど,聞きたいことを共有する  
 
今さら聞けない,けど,聞きたいことを共有する
 表現の基盤は人間関係づくりにある,ということで,まずは,参加者どうしで自己紹介を行うことから始まりました。話題は,「話すこと・聞くこと」「書くこと」の中で,こんなことに困っている,あるいは,こんなことを知りたい,ということについて。初対面の参加者どうしでも,この日,この講座を選択したという共通点が話を弾ませます。
 その中で出てきたのは,「教科書の作例をどう考えればよいか」「話すこと・聞くことの評価が難しい」「子ども自身が話したいと思う授業にするには,教科書の例のままでは難しい」「何も書けずに固まってしまっている子がいる」など。それぞれの疑問や悩みに対するアドバイスとともに,この後の講座が続きます。

「話す・聞く」と「書く」の単元の流れって同じ?
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「話す・聞く」と「書く」の単元の流れって同じ?
 まず,教科書教材「つたえよう,楽しい学校生活(話す・聞く)」「気になる記号(書く)」(ともに光村3上)を例に,単元の流れの共通点・相違点を確認しました。(左図参照)
 両者とも,大きな流れは非常によく似ています。
  話題や題材を決める
  取材,選材を行う
  実際に,話したり,書いたりする
 では,相違点はどこにあるのでしょう。それは,「話すこと・聞くこと」には,相手がすぐ目の前にいますが,「書くこと」の場合はそうとは限らない,ということが大きく関わっていると邑上先生は言います。そのため,「書くこと」では,どの文種でも文章構成が重視されますし,書いた後の推敲や,友達との交流活動が大事になってくるのです。いっぽう,「話すこと・聞くこと」は,その同時性(話し手と聞き手が同時に存在すること)や,音声がすぐに消えてしまうという特性があることから,「話すこと」と「聞くこと」を同じステップで指導しなければなりません。また,だからこそ活動後に全員で振り返ったり,他の学習場面等で生かしていったりするということが特に重要になってくるのです。

「話型」の指導・活用のポイントは  
「話型」の指導・活用のポイントは
 「話すこと・聞くこと」の授業でよく見られる「話型」。話型はどう活用するとよいのでしょうか。教科書には,発表例や話し合いの例が文章で掲載されていますが,それを読んで確認するだけでは,生きて働く「話すこと・聞くこと」の力にはつながりません。邑上先生は,「大事なのは,音声化して確認すること」「話し言葉は話し言葉で勝負してほしい」と強調し,いくつかの具体例が示されました。
 中でも,極めて大事な話型は,話し合いをつなげるためのフレーズだと邑上先生は言います。
  • 「なるほど」「うん,そうだね」などの相手の発言を受け止める言葉
  • ○○さんと同じで」「少し似ているんだけど」など前の発言をつなぐ言葉
  • 「次に〜〜を話し合おう」「○○さんはどうですか」といった話を広げたり深めたりする言葉など
 ただし,教師から「話型」として子どもたちに下ろすのではなく,できれば子どもたちの発言の中から大事なフレーズをすくい上げてクラスの共通言語にしていくと,それがふだんの言葉遣いの中に生きて働くのです,という説明には「なるほど」という顔が多くみられました。

「例文」の扱い―いちばんのお薦めは  
「例文」の扱い ―― いちばんのお薦めは
 教科書の例文は,どの程度書ければよいのかという参考にはできても,そのままでは子どもが目ざすゴールにはなりません。いちばんのお薦めは,題材も例文も,学級の実態に合わせて教師自身が用意することだと,邑上先生は言います。例文を自作することで,文章構成だけでなく,題材に合わせて使ってほしい言い回しや表現をはっきりさせることができ,評価規準も明確になります。
 例文の活用という点では,実際に書く前に構成や表現の工夫を確認する「記述前指導」の方に力を注ぎがちではないでしょうか。しかし,本当に大事なのは「記述中指導」だ,という言葉にはっとさせられた参加者も多かったようです。特に,どうしても書けない子に対する指導については,「(例文を参考にしながら,)書く内容をいっしょに探してあげましょう。そのうえで,書くときの言葉を授け,どう書けばよいかを指導しましょう。」というアドバイスがなされました。
 講座の最後は,初めに出された悩みや疑問に立ち返って,再び参加者と共に交流しながら,この日の学びを共有しました。

【講師の先生のひとこと】
邑上裕子先生  
邑上裕子先生
 話したり,聞いたり,書いたりする指導に困っている実態を出し合いながら,指導の工夫を探ってみました。「話すこと・聞くこと」の話型や「書くこと」の例文は,実態に合わせて子どもと一緒に作ったり,教師自身が書いたりすることで,子どもの支援にもなるし,身に付けたい力が明確になることをご理解いただけたようです。