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 第8回大会のご報告

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小・中の系統性を重視した古典の授業
 「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」が,小・中の学習指導要領に位置付けられ,小・中の接続や連携が重視されています。しかし,双方にどんな教材があり,どんな学習が行われているのか見えにくく,系統を意識した学習活動がうまく行われていないのが現状ではないでしょうか。
 このワークショップでは,小・中学校の古典学習の系統を明らかにし,小・中の教科書に掲載されている短歌や俳句,和歌や随筆に示されている「季節」に着目した指導を考えてもらい,交流し合う活動を行いました。

ワークショップの流れを紹介します。
古典学習に関する学習指導要領の趣旨

図1
  (図1)
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古典学習に関する学習指導要領の趣旨
 古典をテーマにしたワークショップは,今回で3回目となります。
 最初に田中洋一先生が,古典学習に関する学習指導要領の趣旨について,「求められる古典の力」と「古典教育における系統的な指導」の観点が説明されました。(図1)
 小・中それぞれの教材の特徴と指導のポイント,留意点を示した上で,特に固定化されていた中学校の指導の発想を転換できるようなヒントを考えていく,ということがテーマとして示されました。

図2
  (図2)
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図3
  (図3)
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古典指導における課題とは
 続いて,石川俊一郎先生から,中学生,高校生の古典に対する意識を調査した資料が紹介されました。(図2)  この資料から,先生方は古典の面白さにはまって一生懸命に教えている反面,子どもにはあまり響いていないことがわかりました。
 小・中学校を通じて,暗唱に取り組んでいるのに,高校生へのアンケート結果では,「今でも暗唱できる作品」はかなり少ないという結果が出ており,生涯にわたって古典に親しむという目的は達成されていないということがうかがえます。(図3)





小・中学校教科書における古典教材
 小学校では,2年生から伝統的な言語文化に親しむ教材が出てきます。5年生になると本格的に古典の作品が登場します。ほとんどは中学校における教材文と共通していることがわかります。
 このような実態をしっかり踏まえて,子どもたちの興味を引くような授業を考えていこうというのがこのワークショップの大きなねらいです。今回は小学校の先生が少ないので,中学校における授業,その中でも特に1年生の最初の1時間をどのように計画するかグループで考えてもらいます。

中学生になって初めての古典の授業を考える


中学生になって初めての古典の授業を考える


中学生になって初めての古典の授業を考える


中学生になって初めての古典の授業を考える
 
中学生になって初めての古典の授業を考える
 石川先生は,自身が立てられた「話す・聞く」「書く」「読む」とそれぞれ絡めた学習活動の展開例を取り上げ,これを参考にしながら先生方で独自の指導案を作ってもらう活動に入ってもらいました。4〜5人のグループに分かれ,話し合いながら模造紙に指導案をまとめていきます。
 あるグループでは,普段の自分たちの授業を「読むこと」の指導事項中心の授業が多いと振り返りながら,「話すこと・聞くこと」「書くこと」を織り込んだ授業を考えたいけれど,果たして中1でそれができるのか,という議論がなされていました。例えば,中3ならばディスカッションをしながら登場人物の心情をとらえていくことはやっているけれど,なんとか中1の導入でも「話すこと・聞くこと」を絡めた授業に挑戦したい,と考えていました。
 このグループでは,「必要に応じて質問しながら聞き取り,自分の考えとの共通点や相違点を整理する」という指導事項で授業を構想。「グループで質問しながら,お互いの古典に対するものの見方や考え方を広げる」を目標としました。
  1. 小学校の時に学習した古典作品で印象に残っているもの,おもしろいと思ったもの,その理由をワークシートに書かせる。
  2. グループで紹介し合い,質問し合いながら,自分との共通点や相違点に気づかせる。
  3. 話し合いの中で自分の考えが深まっていったことを,最後の振り返りでまとめさせる。
     教師は,最初に書いたものが話し合いを通してどれくらい広がったり深まったりするところを評価していく。
 この他,「話し合いを通して,俳句のいろいろな世界をイメージしよう」「昔話をクイズ化するなどしながら,古典を身近なものとして捉えさせる」「不思議発見!仮名遣い?百人一首の表記から歴史的仮名遣いを見つけ出す」などのアイデアが発表されました。

 
固定観念にとらわれない授業を
 石川先生は,「ハードルの高いテーマでしたが,どのグループも熱心に議論を重ねながらいい提案をしていただきました。これだけ小学校の既習事項を考えながら,指導計画を立てることはなかったんじゃないでしょうか。この経験をこれからぜひ生かしてください。」と,先生方にアドバイスしていました。
 田中先生からは,「今日のワークショップを通して,先生方は古典の授業に対する固定観念から抜け出せたんじゃないでしょうか。今まで自分が受けてきた授業,自分がやってきた授業は,決まった型にはまっていたんじゃないでしょうか。実は授業というのは,何でもありなんだということに気がついてもらえたら,今日は大成功だったと思います。これをきっかけにおもしろい授業をどんどん開発してください。」と,明日からの授業にエールが送られました。