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 第8回大会のご報告

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言葉を引き出すしかけを作る!語彙指導のワザ,伝授します
 言葉の力をつけたい。それは国語教師の悲願でもあります。どんなときでも言葉の力をつける授業をしなければなりません。もし語彙指導にワザがあるとしたら,どのようなことでしょうか。先生方と一緒に考え,活動し,学び合うワークショップです。

ワークショップの流れを紹介します。
アイスブレーク「辞書の編集者になろう」  
アイスブレーク「辞書の編集者になろう」
 はじめに藤森先生からワークショップの概要について説明があり,「5分の4は子供の気持ちで,残りの5分の1は教師の気持ちで」といったコンセプトのもと,まずはアイスブレークからスタートです。隣の先生とペアを組み,自己紹介に加えて,辞書の編集者になったつもりで「右」「南」という言葉を「中学1年生にもわかるように」辞書的に定義する活動です。ご参加の先生方は苦心しながらお互いに説明をしていきます。
 こうした「概念」を説明するのは非常に難しいことであり,逆に「概念」を表す言葉を知っていることで具体物を抽象化できるということを体験できるアイスブレークでした。藤森先生からは,それこそが国語における学習語彙の獲得に通じるものであるというご示唆がありました。
ワークショップ「言葉の小劇場」  
ワークショップ「言葉の小劇場」
 藤森先生から甲斐先生にバトンタッチし,「日常生活の中の語彙指導」をテーマに一つ目のワークショップが始まります。
 甲斐先生のご実践「言葉の小劇場」を先生方にも体験していただく時間です。教科書に登場する言葉を使って,その言葉にぴったりな場面を描いた文章を5分間で書く100字作文です。数名の先生には実際に書いた作品を発表していただきました。
 作品(今回は光村図書3年「朝焼けの中で」)のもつ雰囲気を形成しているものは,実は内容だけでなく,使われている言葉がもつ語感の一つ一つであるということに気づかされました。また,生徒たちがこうした言葉を使って文章を書くことで,「使える」語彙が増え,蓄積されていくということについても触れられていました。
作品のよさを述べた文章を講評する  
作品のよさを述べた文章を講評する
 次のワークショップは,生徒の文章を講評するときに生きる「ほめる言葉」を見つける活動です。文章を書くのが得意な生徒と苦手な生徒の例が提示され,それぞれに合ったほめ言葉を考えていきます。
 ただ「よかったね」だけではなく,「どこがよかったのか」という具体性をもたせること,「どこが足りなかったのか」を教えてゴールを示すことが重要。「生徒たちに『もっと教えて!』という表情をさせたらこっちのもの」と,甲斐先生は笑顔を見せます。
 「背伸びをさせる」言葉を与えることで,生徒たちはもっと書く意欲が湧き,そうした言葉を吸収するようになっていく,といったお話もありました。
「語彙を学ぶための」俳句創作  
「語彙を学ぶための」俳句創作
 休憩を挟み,再び藤森先生にバトンが渡ります。甲斐先生のワークショップで説明のあった「ワザ」を,ホワイトボードで確認しつつ,それが汎用的なものであることを明らかにしていきます。
 さて,藤森先生のワークショップは俳句の共作です。1人の先生が,「5音の名詞(句)」,もう1人の先生は全く別文脈の「3音の名詞(句)」を考えます。5音が初句となり,次の3音に「のような」をつけて腰の句に,そして結句は「秋の○○」と結び,俳句の完成です。完成した俳句は短冊に清書され,どんな情景を表しているのかの説明と共に発表されていきます。美しく,秋らしい俳句が次々に詠まれました。
 五・七・五の形式を学びながら,比喩・見立てによって,別文脈の言葉をつなぎ合わせ新しい世界が生まれていくということが実感できるワークショップでした。
まとめ  
まとめ
 ワークショップを通して,お二人の先生がお話しになってきたことを再度確認すると共に,質疑応答の時間がとられました。
 はじめに藤森先生が「2時間のワークショップですが,20分ほどに感じるのではないでしょうか」とおっしゃっていたように,あっという間の2時間でした。終了後,講師の先生方には盛大な拍手が贈られました。
【講師の先生のひとこと】
藤森裕治先生  
藤森裕治先生
 今回は講座ではありませんでしたが,こちらからお伝えしたい内容がたくさんありましたので,実際のワークショップは短めでした。それでも3つの演習は明日すぐに使えるものだったはずです。また,子どもたちの言葉を豊かにする授業づくりとは何がどうなることか,何をどうすることかについて,その原理と知恵の数々をお示しすることができたと自負しています。使える言葉が人間を育てる。こういう志で共にがんばりましょう。
甲斐利恵子先生  
甲斐利恵子先生
 国語の授業はすべて語彙教育。言葉を教えるのが仕事なんだといつも自分に言い聞かせています。
 そんな思いを参加者のみなさんと共有したいと思いました。熱心に取り組んでいただき,楽しい時間になりました。