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 第8回大会のご報告

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子どもたちの心をひらく話し合い活動 豊かな伝え合いをデザインする,あんな工夫,こんな工夫
 各教科等で,協力し合って課題を解決するような活動が重視されています。子どもたち全員が話し合う力をつけ,「話し合ってよかった」という実感をもてるようにするには,どんな工夫をするとよいのでしょう。邑上先生のコーディネートのもと,実際に話し合いを体験してみることで,多くの気づきが得られるワークショップとなりました。

ワークショップの流れを紹介します。
「ことばは,心を開く働きがあります。」  
「ことばは,心を開く働きがあります。」
 この言葉を皮切りに,まず,講義形式で「話すこと・聞くこと・話し合うこと」についての基本を学びました。
 話し言葉は,自分の思いを乗せて発信するもの。学習の中では,とかく,楽しいことやよかったことを話題にしたり,次々と話題を前に進めていったりすることを「よし」としがちです。しかし,そういうことばかりでなく,困った,分からない,嫌だ,ちょっと待って,もう一回聞きたい,という思いをこそ,言葉に乗せて伝えられるような子どもを育てたいという邑上先生の話にはっとさせられます。

 また,「話し言葉の基本は,対話だ」と,邑上先生は言います。形の上だけでのことではなく,言葉や心の機能として,必ず「受けて返す」ということを大切にしたいもの。話を聞いたらうなずくということでもよいし,「どういうこと?」と質問をしてもいい。どのような形でも,受けて返すということが,コミュニケーションの基本として大事なことだという話に,うなずく参加者の先生方が多数いらっしゃいました。
話し合う前の人間関係をつくる工夫
 
 
 
話し合う前の人間関係をつくる工夫
 
話し合う前の人間関係をつくる工夫
 いきなり「話し合いましょう」と言っても,子どもたちどうしの関係ができていないと,なかなか難しいものです。それは,大人でも同じこと。そこでこの日は,初めに,平成27年度から使用される光村図書の教科書教材「言葉の準備運動」を使った,アイスブレイク活動(集団の緊張をほぐし,人間関係をつくる活動)を行いました。概要としては,二人組で互いに1分間インタビューをし合って,分かったことを一文にまとめ,グループ内で他己紹介をするというものです。
 インタビューのお題は,「好きな遊び」「好きな動物」「もし会えるとしたら,一度でいいから会ってみたい人」という,プラス志向のものばかり。参加した先生方は,初めて会う人どうしでも,相手の方の意外な一面が見えると,笑顔でメモを取りながら楽しそうに交流していました。他己紹介の後には,自然と拍手が湧き起こり,そのまま対話が続く姿も。
 邑上先生は,「子どもたちの人間関係づくりのためのさまざまな手立てがあるので,ぜひ,各教室に合った『言葉の準備運動』を工夫してほしい」と強調されました。
話し合いは,とっても難しい!?  
話し合いは,とっても難しい!?
 話し言葉は一過性であり,一瞬で次々に流れていくものです。そのうえ,話し合いは,話し手と聞き手が瞬時に入れ替わるものでもあります。その中で,司会を中心に,互いの考えを比べたり,まとめたり,振り返ったりしながら,一定の結論を得ようとするという難しさがあります。その難しさを克服するには,話し合いの「可視化」こそが重要だと,邑上先生は言います。
話し合いの可視化の工夫
 
 
 
 
 
話し合いの可視化の工夫
 
話し合いの可視化の工夫
 さて,いよいよ,話し合いの実践です。地域の方々に向けて,学校行事の紹介をするとしたら……,という設定で,紹介する行事の内容と,それをどんなふうに伝えるかという方法を決める話し合いをしました。
 アイスブレイク活動ですっかりほぐれた参加者は,それぞれのグループで司会を決め,活発に話し合います。その際に,ポイントとなるのは,「自分の考えを付箋に書き出すこと」「ミニホワイトボードを使って,付箋を分類・整理しながら話し合うこと」「掲示された合意形成のための条件を常に意識すること」です。このようにして,各自の考えや話し合いの過程条件の可視化を体験しました。
 途中に挟んだ10分間の休憩時間にも,熱心に話し合う光景が見え,最後には,ミニホワイトボードを使って,話し合いの過程と結論を,全体で和気あいあいと交流することができました。

 いきなり話し合うのではなく,話し合う前の温かい雰囲気をつくるということと,話し合いの可視化の有効性を全員で実感できた2時間でした。
【講師の先生のひとこと】
邑上裕子先生  
邑上裕子先生
 「ことばは,心を開く働きがあります」という合言葉でスタートしました。初対面同士が自己紹介をして,それを他の人に伝えるという「言葉の準備運動」では,用意した質問を越えて聞き合い,相手をよりよく理解しようという働きが見られました。司会を立ててのグループ毎の話し合い活動では,合意形成に至るまでを,付箋紙を活用し可視化しながら,考えをまとめる工夫をしました。子ども以上に真剣で,相手のことばをつなげようとする参加者が多く見られ,協働的な学びを体験していただけたと思いました。