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 第8回大会のご報告

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「よくわかる」「すぐできる」物語文の授業づくり
 主体的に学ぶ児童を育むためには,児童が問いをもちながら読むことが大切です。そのためには,教師が全てを説明して,理解させるのではなく,児童が問題意識をもつよう働きかけるように指導を行う必要があります。本ワークショップでは中学年の文学的文章を取り上げ,児童が問題意識をもつための教材研究の方法や発問のあり方,言語活動の工夫について考えていきました。

ワークショップの流れを紹介します。
よりよい教材研究のために  
よりよい教材研究のために
 まず,講師の松木先生から,教材研究を行う際,「ねばならないこと」と「できること」を意識しなければならないとの説明がありました。前者は,学習指導要領に書かれている内容,つまり,児童に教えねばならない内容,つけねばならない力を教師が理解しておくことであり,後者は,その教材だからこそ,児童につけることができる力を見極めることです。
 「児童一人一人にどんな力をつけさせたいかを明らかにし,考える楽しさ,喜びを感じさせるような国語の授業作りをすることがたいせつです。」という松木先生の言葉を,参加者は大きくうなずきながら聞いていました。

「なぜ」を大切にした国語の学習にするために  
「なぜ」を大切にした国語学習にするために
 では,考える楽しさを実感させるために,どのような授業の工夫ができるのでしょうか。講師の黒田先生は,児童の「なぜ」を大切にするとよいと言います。
 その具体例として,いくつかの実践が紹介されました。例えば,作品に描かれている登場人物の感情と,読者としての自分の感情の「ずれ」に気づくことで読みを深めるといった実践(3年「ちいちゃんのかげおくり」),あえて児童が疑問をもつような発問を行い,児童の思考を揺さぶることで,イメージ豊かに読ませる(3年「モチモチの木」)といった実践です。
 また,登場人物に手紙を書く活動を通して,登場人物の背景を想像する(4年「白いぼうし」),登場人物の内言を考えて書き足すことで,登場人物の様子を想像豊かに読む(4年「ごんぎつね」)といった,書く活動と結び付けて読む力を高める実践も紹介されました 。
グループで協力して,指導の工夫を考える  
グループで協力して,指導の工夫を考える  
グループからの発表
 
グループで協力して,指導の工夫を考える
 次は,参加者が指導の工夫を考える時間です。一つの物語を場面に分けて,グループに割り振り,どのように指導すればよいかを考えます。30分という限られた時間の中で,グループで協力して「どのような表現に着目させるか」「どのような発問を行うか」という二点を中心に考えてもらいました。
 「この言葉は外せない。」「この表現もしっかり考えさせなくてはいけない。」といった声が,話し合いの中で聞かれました。また,発問のしかたについても複数の発問をめぐって,熱心に話し合っていました。講師の先生もグループの話し合いに参加し,参加者からの質問に答えたり,自身の実践を踏まえたアドバイスを行ったりしていました。

グループからの発表
 熱のこもった話し合いの時間はあっという間に過ぎ,いよいよ発表の時間です。同じ場面を検討していても,グループによって気づかせたい表現や,発問の方法が少しずつ違っていました。黒田先生が紹介した手法を早速取り入れて提案するグループや,教師と児童の役に分かれて模擬授業のように発表するグループもあり,大いに盛り上がりました。
 短い時間ではありましたが,参加者は,グループで協力し合い,いろいろな視点で話し合ったことで,より充実した教材研究を行うことができたようです。

結びに代えて〜楽しい国語の授業を作るために〜  
結びに代えて〜楽しい国語の授業を作るために〜
 本ワークショップの結びとして,黒田先生からこの日の内容を踏まえ,楽しい国語の授業作りのコツについて紹介がありました。それは,徹底して児童の目線に立ち,児童の「できない」「分からない」という感情を共感すること。そのつまずきを乗り越えられるような授業の組み立てを考えることです。さらに,児童が「おもしろそう」「やってみたい」と思わせるようなユーモアのある活動を取り入れることで,児童が楽しみながら力をつけていく授業になっていきます。そのためのヒントとして,黒田先生がいろいろなワークシートを配ると,参加者からは早速明日からの授業で使ってみたいという声が聞かれました。
【講師の先生のひとこと】
松木正子先  
 
黒田英津子先生
 
松木正子先生
 黒田先生の豊かで「すぐにでもやってみたい」という実践を紹介していただくと,「よくわかる」し,「すぐできそう」という意欲がわきます。参加した先生方も短い時間の中ですぐ打ち解け,学び合われていました。今年も充実した時間でした。ありがとうございます。


黒田英津子先生
 どの言葉にこだわり,どの言葉で立ち止まらせるのかという話し合いが活発に行われていましたが,各グループの様子を見ていると,教材解釈や授業づくりの相談をすることは楽しいことなのだと感じました。「葛藤」「矛盾」「問い直し」をキーワードにして,子どもたちに,「読むことのおもしろさ」「考えることのおもしろさ」を味わわせたいと思います。ありがとうございました。