line decor

 第7回大会のご報告

line decor

新しい教材と視点で創る古典の授業
 学習指導要領に〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕が設けられ,小学校でも古典を教材とする学習が行われるようになりました。また,古典を,「読むこと」だけでなく,「話すこと・聞くこと」「書くこと」の教材として位置づけることも可能になりました。
 こうした点を踏まえ,本ワークショップでは「竹取物語」を取り上げ,中学校の新しい古典指導のあり方を検討しました。

ワークショップの流れを紹介します。
中学校の古典学習に求められることとは  
中学校の古典学習に求められることとは
 はじめに,講師の田中洋一先生より,古典学習に関する学習指導要領の趣旨をご説明いただきました。小・中・高の古典学習の流れの中で,中学校の古典指導に期待されていることは,「古典に親しむ態度の育成」です。ところが,平成25年度の全国学力・学習状況調査では,「古典が好き」と答えた生徒の割合は,全体の約29%にとどまりました。固定化しがちな古典の授業に,新しい視点や新しい教材を持ち込むことで,「古典は楽しい」「古典が好き」と感じる生徒をもっと増やすことができるのではないか――そんな田中先生からのご提案に,ご参会の方々はときに頷きながら熱心に聞き入っていらっしゃいました。
ワークショップの概要  
ワークショップの概要
 次に,講師の石川先生から本日のワークショップについてご説明がありました。ワークショップでは,グループに分かれて「竹取物語」の指導案を作成します。その際の条件は,次のとおりです。
  1. 学習活動のお題は,「かぐや姫の6人目の求婚者を創作する」こと。
  2. 教科書で「竹取物語」を学習した後の発展的な学習活動とする。
  3. 対象学年は,教科書に「竹取物語」が載っている1年に限らない。2,3年でもよい。
  4. 主たる指導事項は,「読むこと」に限らない。
指導案を作ろう  
指導案を作ろう
 さあ,いよいよワークショップの始まりです。4人1グループになり,「かぐや姫の6人目の求婚者を創作する」という学習活動を,何年生のどの領域で,どのような指導目標を立てて行うのかを話し合います。そして,指導案を模造紙にまとめます。ときには,講師の先生もグループの話し合いに加わり,授業を充実させるためのヒントを教えてくださいました。「教科書に載っていない他の4人の求婚者については,簡単な現代語訳を配って紹介すると,時間が短縮できますよ。」「5人の求婚者が物語に出てくる順番と,彼らの地位や身分,結末からは,一定のルールを読み取ることができます。それを踏まえて,6人目の物語を考えさせるといいですね。」講師の先生のヒントも踏まえ,それぞれのグループで,話し合いは次第に深まっていきました。
指導案を発表しよう  
指導案を発表しよう
 模造紙を教室の前に貼り,1グループずつ,どのような指導案にしたのかを発表します。同じ「かぐや姫の6人目の求婚者を創作する」というお題でも,異なるアプローチで,さまざまな指導案が発表されました。
[発表された指導目標の例]
  • 創作することを通して,作者が人物設定に込めた意図を読み取る(読む)。
  • 構成を工夫して物語を創作する(書く)。
  • 創作した物語を,資料を効果的に提示しながら発表する(話す・聞く)。
 いずれのグループにも共通したのは,原典となる「竹取物語」をないがしろにすることなく,むしろ作品をしっかりと読解・分析したうえで行われる学習であるということ。この点は,田中先生と石川先生が,ワークショップの中でそれぞれのグループにお伝えになっていたことです。どれもすぐにでも実践できそうな指導案で,ご参会の方々は,ときに「なるほど。」とつぶやいたり,模造紙を見るために身を乗りだしたりしながら,各グループの発表を熱心に聞いておられました。
古典指導に新しい風を  
古典指導に新しい風を
 各グループの発表の後には,石川先生からご講評をいただきました。そして,最後に,田中先生から「これまでの既成概念にとらわれることなく,新しい古典指導のあり方をいっしょに模索していきましょう。」という呼びかけがあり,講師の先生方には大きな拍手が贈られました。
 講師の先生方とご参会の方々とが一体となって,「楽しい古典の授業」の可能性を探ることのできた,たいへん充実したワークショップでした。
【講師の先生のひとこと】
田中洋一先生  
田中洋一先生
 ご参加いただいた先生方が皆さん熱心で,教材も指導法も固定化されている傾向がある古典指導に,新しい風を吹き込んでいただけると確信しました。私も先生方の斬新なアイデアに大いに触発されました。
 どうぞ研修の成果を存分に発揮してください。
石川俊一郎先生  
石川俊一郎先生
 古典教材の魅力を生徒たちにいかに伝えるかを主眼に,小学校での古典学習を踏まえ,「読むこと」だけではなく,「話すこと・聞くこと」「書くこと」の学習活動を考えてもらいました。指導事項を踏まえた各グループの発表は,すぐにでも授業で実践できるものばかりであり,勉強になりました。