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 第7回大会のご報告

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はがき新聞 ─― 短文章で充実授業
 子どもたちが自分たち一人一人で考え,その考えを言語化し,交流できる。そんな言語活動を行いたい!という先生方は多いのではないでしょうか。ワークショップDでは,森山先生・達富先生からコンパクトテクスト(短くまとまった文章)を書く活動についての効果と提案がありました。はがき新聞という言語活動を実際に行いながら,コンパクトテクストの可能性について学びました。

ワークショップの流れを紹介します。
充実した言語活動に「コンパクトテクスト」  
充実した言語活動に「コンパクトテクスト」
 言語活動を充実させたいが,「活動あって学びなし」では困る。大がかりな活動を恒常的に組むことも難しい。そんな悩みを抱える先生方に,森山先生から「コンパクトテクストが有効」という提案がありました。
 コンパクトテクストとは,短くまとめる,相手意識・目的意識をもつ,構造をもつ,原稿用紙にこだわらないという特徴をもつ短い文章のことです。書くことへの抵抗感をなくし,たくさん書くことで,表現力の向上が期待されます。また,書いた作品を交流の題材にすることも可能です。
「言語化して説明する」とは  
「言語化して説明する」とは
 ところで,「書く」つまり「言語化して説明する」とはどういうことなのでしょうか。アイスブレイクを兼ねて,簡単なワークショップが行われました。
 二人一組になり,一人の先生だけが,森山先生の描いたイラストを見ます。それを,言葉だけでペアの先生に説明し,イラストを再現できるかどうか。イラストを言葉だけで伝えることは,思いのほか難しいものです。
 「まず,言葉を知らないと説明できないですね。さらに,適切な表現をするためには,文法と表記が大事になってきます。」という森山先生の解説に深く納得です。
書くことの注意点  
書くことの注意点
 では,それら,書くための基盤的な力はどうすれば身につくのでしょうか。
 森山先生からいくつか着目すべき点が挙げられました。例えば,句読点の位置。これは,構造を明確にするために重要です。接続表現も,文章構成を考えるうえで欠かせない要素です。これらについて,児童の使用実態や傾向,問題点を,実例を挙げながら説明してくださりました。
 このような句読点や語句に着目して読むことが,書くことにつながります。細かな点なので,詳細な読解のように思われるかもしれません。しかし,「なぜ,ここに読点があるのか」「どうして,この接続表現が選ばれたのか」と考えることは,作者・筆者の意図をさぐることになります。ひいては自分の表現にも生きてきます。書くことの教材として読解を行いつつ,そこから気づいたことを短い文章でまとめ,表現にその工夫を生かす。これを繰り返すことで,着実に書く力がついていくということが,コンパクトテクストの魅力なのです。
はがき新聞づくり  
はがき新聞づくり  
はがき新聞づくり
 
はがき新聞づくり
 続いて,コンパクトテクストの具体的な活動例である はがき新聞づくりを行いました。はがき新聞は,文章量が少なく,イラストや写真を用いるので,気軽に楽しく取り組めます。しかも,誰に何のために書くのかがはっきりしますし,構成を考えたり,情報を厳選したりする必要があるので,書くことの力を育むのに有効な活動なのです。
 ワークショップでは,はがき新聞を指導に取り入れている羽賀絹江先生が,作り方の説明をしてくださいました。国語の授業で用いることを想定し,教科書教材を素材にするという実践的な内容です。
 いつもは指導の立場にいる先生方が,ペンを片手に試行錯誤しながら新聞づくりに夢中になった1時間でした。短時間でしたが,先生方の創意工夫にあふれた作品が次々にしあがりました。作品をもとに交流も盛り上がっている様子でした。代表して3名の先生が発表をしてくださったのですが,はがき新聞の出来栄えはもちろんのこと,そのアイデアや説明のしかたもすばらしく,羽賀先生からも感動の声があがっていました。
 実際に活動を体験したことで,授業への生かし方や指導方法などのアイデアが広がったのではないでしょうか。「指導する前に,教師が言語活動を実際に体験しておくことの重要性を再確認できた」という達富先生のお言葉は,参加者の先生方の気持ちを代表するものだったと思います。


コンパクトテクストの可能性  
コンパクトテクストの可能性
 コンパクトテクストの活用は,「書くこと」にとどまりません。達富先生から,さらに有効活用するための3つのポイントが挙げられました。
 一つ目は,「書写の教科書で楽しむ」。書くことの基本として,人に読める文字を書くことが大切です。低学年の書写教科書を使うと,正しい文字を見直すきっかけになります。
 二つ目は,「語彙を集めて表現をつくる」。短い文章だからこそ,自分の言葉を使ってほしいものです。語彙を増やす方策として,作品や文章中の語彙を言い換えさせる活動例が紹介されました。
 三つ目は,「言語操作の見通しをもつ」。自分の考えを短く,かつ自分の言葉で,必要に応じて引用して表現するという練習が,活発な話し合いにつながるという先生の体験談は,たいへん説得力がありました。
 最後には,森山先生と達富先生が,互いのはがき新聞を紹介し合い,和やかにワークショップは終了。
 「読むこと」で表現をみがき,「書くこと」に生かしていく。繰り返し「書くこと」で,自分の考えを短くまとめることになれる。それが,「話すこと」につながっていく。そんなコンパクトテクストの魅力と可能性を,実感をもって考えられた2時間でした。
【講師の先生のひとこと】
森山卓郎先生  
森山卓郎先生
 楽しく,気軽に,無理なく取り組め,しかも,皆が力がつく言語活動としてのコンパクトテクスト。「書くこと」の注意点,「はがき新聞」の実践という展開でした。皆様の作品に驚嘆でした!
達富洋二先生  
達富洋二先生
 書くことだけでなく,読むこと,話し合うことにも,さらに学ぶ楽しさを実感することにも有効なコンパクトテクストを紹介しました。一つ一つが読解を主体化した皆様のオリジナル100パーセントに感嘆でした!