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 第7回大会のご報告

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今さら人には聞けない国語の授業入門・小学校編
 この講座は,前半では「授業の基盤は学級経営と環境づくり」を,後半では「『書くこと』の効果的な指導法」を中心に,"明日の授業に役立つ"学習指導要領の考え方,子どもと教師との関係,授業の組み立て方などについて,輿水先生が歯切れよく講義されました。

講座の流れを紹介します。
授業の基盤は学級経営と環境づくり  
 
授業の基盤は学級経営と環境づくり
 「それでは,お隣の方と自己紹介をしてください。」という声掛けから講座が始まりました。コミュニケーションの第一歩はあいさつ。教室の環境づくりの第一歩も,「おはよう」という毎日のあいさつが大切な基盤になります。朝,教室に入って来た子を,「おはよう」というあいさつで迎えられるかどうか。輿水先生は,「子どもが毎日接する言語環境としての教師が,モデルを見せられるかどうか」がなにより大事なことだと話します。
全員を授業のスタートラインに立たせる  
全員を授業のスタートラインに立たせる
 教室の全員が,その授業の初めの発問に乗ってきているかどうを,見なければならない,と輿水先生は言います。そのときの問いかけが,「分かった人,手を挙げて」というものでは,分かった人だけしか手を挙げません。同じことを聞くのでも,「自信がない人,まだできていない人,手を挙げて」や,「あてはまるものに丸を付けて」など,教室の全員を授業に乗せていくための発問・指示を工夫することが大事です。そうすることで,全員を同じスタートラインに立たせ,全員に個別の課題意識をもたせることができる。さらに,「できていない」ということを表現させることを通して,分からないから学ぶ,できないから練習する,ということが当たり前のクラスを作ることにつながる,という話に,納得の表情を浮かべる参加者の先生方でした。
「書けない」原因はなにか  
「書けない」原因はなにか
 ある学校で,1年生の担任の先生が学級の実態調査をしたところ,「国語が好き 100%」「書くことが好き 93%」という結果になったそうです。しかし,高学年になるにしたがって少しずつ書くことを嫌がる子どもが増えてくる――これは全国的な状況だと輿水先生は言います。そして,参加者の先生方に投げかけました。「なぜ,高学年になると,書くことが嫌い,苦手という子が増えてくるのか,その理由を予想してみてください。理由をイメージしないと,解決方法なんて見つかりませんよ。」
 参加者の先生方から挙がったのは,「書かされている意識」。これを「書きたい意識」に変えるにはどうすればいいか,それは,目的をはっきりさせることに尽きると輿水先生は言います。この他にも,「続けて書く」「書いたものを大切にする」「書いたら誰かに読んでもらう」という観点から,輿水先生は丁寧に解説されました。
教科書のモデル文はB評価レベル  
教科書のモデル文はB評価レベル
 つづいて,「すがたをかえる大豆(説明文)」「食べ物のひみつを教えます(書くこと)」(光村図書・三年下巻)を例に,先行する説明文の説明のしかたを活用して,分かりやすく書くことにつなげる単元の指導法について解説が行われました。
 「すがたをかえる大豆」の本文と,「食べ物のひみつを教えます」のモデル文を分析してみると,段落構成と段落ごとの書き方がほとんど同じ。そこに着目して,事例を挙げて説明する段落は,モデル文のように「まず」「次に」「さらに」を使って書けていれば,B評価と見ていい,そのように指導すればよい,という輿水先生の力強い言葉に,参加者の先生方は度々うなずいていらっしゃいました。

「最大静止摩擦力」を意識する  
「最大静止摩擦力」を意識する
 特に「どう書いていいか分からない」という子を動かすことが重要になると輿水先生は言います。そのことを,「物体は動きだす直前の摩擦力が最も大きい(=最大静止摩擦力)」という比喩で説明されました。一度動き始めると,あとはスムーズにいくことも多いので,まずは動き始めるための手立てを重視しましょう,というわけです。
 具体的には,教科書のモデル文の書き出しの一文をそっくりそのまま使うという手法を提案されました。「食べ物のひみつを教えます」なら,その一文目「○○は,いろいろな食品にすがたをかえています。」の「○○」だけ書き換えればいい,と指示すれば,ほとんどの子が書き出しに困ることはありません。これは,どの学年でも同様に使える手法です。
 最後に輿水先生が言った,「子どもに書かせる前に,一度教師がモデル文を書いてみることが必要だ」という言葉に,はっとさせられた先生も多かったのではないでしょうか。子どもが伝えたい,書きたいと思えるような学級づくり,そして,そのための手立てとして話された一つ一つの事例が,参加者の先生方にとって明日のヒントになればと願う,輿水先生の思いが詰まった各60分間でした。
【講師の先生のひとこと】
輿水かおり先生  
輿水かおり先生
 一コマ60分。あっという間でした。事前アンケートを取ってQ&A方式にした方がよかったかなと反省しています。教師の意識が,「言葉の力」を育てます。参加された先生方のうなずきに力をいただきました。感謝です。