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 第6回大会のご報告

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比べて読む・比べて考える 「比べる」で,授業を活性化し,論理的思考の基礎を育てる
 ワークショップFでは,私たちの思考の基礎にある「比べる」という操作・活動をテーマに行なわれました。新聞の表現と効果,俳句鑑賞,『走れメロス』の読解に,「比べる」を生かして取り組みました。

ワークショップの流れを紹介します。
アイスブレイク  
 
アイスブレイク
 
アイスブレイク
 オープニングは,「AはBである」という形の5つの文を,2つに分類する活動を行いました。4人1組の班での話し合いです。
「ア.人間は,動物である。」
「イ.中学3年生は,中学の最高学年である。」
「ウ.お茶の水女子大学附属中学校は,共学校である。」
「エ.本田圭介は,サッカー選手である。」
「オ.第95代内閣総理大臣は,野田佳彦である。」。
 班ごとに,さまざまな分け方が発表されました。さらに,もう1題課題に取り組み,どの班も,話し合いのよい雰囲気が作られました。
 実は,このアイスブレイクも,今回のテーマ「比べる」に関するもの。文どうしを「比べて」分ける課題です。ご参加の先生方も,そのおもしろさにすぐにお気づきになられ,活発に意見交換をされていました。
「比べる」視点と文型  
「比べる」視点と文型
 宗我部先生は,国語の授業での「比べる」の有効性について,「誰にでも取り組める」「気づきが生まれやすい」「比べた結果から意味づける(解釈する)ことにつながる」とご指摘くださいました。
 また,実際の授業でのポイントとして,「比較の観点をそろえる」「比べて述べる型を与える(Aは〜だが,いっぽうBは〜。)」「比較対象を明確にする」とご助言くださいました。
 宗我部先生は,このご実践で,印象を言い合う授業でなく,「言葉」を検討し合う授業になる,発言が論理的になる,各生徒の言葉の感性が発揮されやすいなど,さまざまな効果を実感されたそうです。
新聞の表現と効果を「比べる」  
新聞の表現と効果を「比べる」
 続いて,同じ事件について述べた新聞6紙の記事を「比べる」というご実践をご提案くださいました。その事件とは,宗我部先生も熱烈なサポーターである浦和レッズが,2006年Jリーグで優勝したというものです。新聞名を伏せ,記事の表現から,スポーツ紙と一般紙を区別します。ポイントは,区別した「理由」を明確にすること。
 普段スポーツ紙を読み慣れている方は,見出しの情緒的な文言からすぐに判断がついたようです。スポーツ紙には比喩などを用いたツカミがあるいっぽう,一般紙は誰でもわかる報告調であるなどのご意見が出されました。先生方も,課題に取り組まれる中で,「比べる」ことが表現をより深く検討することにつながっていくことを実感されたご様子でした。
俳句のレトリックを「比べる」  
俳句のレトリックを「比べる」
 次に,俳句の鑑賞に「比べる」を取り入れたご実践をご提案くださいました。
 「遠山に日の当たりたる枯野かな(高浜虚子)」「芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)」の2句について,表現の仕方の類似点を考えさせる課題です。漠然と句の情景を問うのではなく,2句の表現の仕方の類似点を,理由とともに考えさせます。(類似点は,どちらの句も遠景と近景を取り合わせているという点。)
 理由を説明しようとすると,個々の言葉を吟味することになり,自ずから情景の読み取りが深まっていきます。まさに,「言葉」を検討し合う国語の授業が実現しています。
『走れメロス』と『人質』を「比べる」  
『走れメロス』と『人質』を「比べる」
 最後に,『走れメロス』とシラーの『人質』を比べる課題です。
 授業では,まず,相違点として,太宰が『人質』から改変している部分を自由に挙げさせるそうです。人物設定,情景描写の詳しさ,場面の有無などが挙がるそうです。
 次に,最も気になる相違点を選んで,意味づけ(解釈)をさせます。まとめ方は,「○○と変えたのには訳がある」「太宰のメロスはここがいい」のいずれかの具体的なまとめ方を指示することがポイントであるといいます。このご実践では,生徒の読みが作品批評・作品論的なものにまで深まっていくそうです。
 終わりに,宗我部先生がこのご実践を続けるきっかけとなった生徒の読みをご紹介くださいました。「山賊」の場面に着目した読みです。そこで実現した深い読みを聞き,先生方もたいへん感心され,「比べる」読みを取り入れようとお考えのようでした。
【講師の先生のひとこと】
宗我部義則先生  
宗我部義則先生
 今回は,言語活動を通した授業づくりのポイントということで,「比べて考える・話し合う」ということを取り上げました。「比較」という操作を意識的に授業に組み入れることで,言葉の学習を活発なものにしようという試みです。ご参加の先生方に実際の授業の追体験をしていただきながら,実践化のポイントを話し合いました。