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 第6回大会のご報告

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ワークショップE/古典学習の系統性−小中9年間を見通して
 学習指導要領に〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕が設けられ,小学校でも古典を教材とする学習が行われるようになりました。
 このワークショップでは,小中共通教材の「枕草子」を取り上げ,発達段階に応じた指導案を作成することによって,小学校ではどのような授業をすればいいのか,中学校ではどのように授業を変えればいいのか,小中9年間を見通した学習のあり方を検討しました。

ワークショップの流れを紹介します。
学習指導要領における小中学校古典指導の趣旨と背景についての概説  
学習指導要領における小中学校古典指導の趣旨と背景についての概説
 田中洋一先生より,過去の文化審議会,中央教育審議会の答申などをひもときながら,学習指導要領において古典の学習が重視されるようになった背景を解説いただきました。
 また,古典に関わる学習指導要領の文言をもとに,各学年段階の学習での留意点を確認していました。小学校で,古典の学習が入ることによって,中学校では,古典の内容により楽しませ,生徒の心に引き寄せるような授業の変更が必要ではないか,という先生からの提案に,ご参加の先生方はしきりにうなずいていました。
小学校の実践について報告  
小学校の実践について報告
 ワークの前に,青山由紀先生から小学校での授業のあり方について報告がありました。
 デジタル教科書の映像を例にしながら,小学校の古典学習の場合,作品にどのように出会わせるか「出会いの演出」が大事なこと,資料で「何を示すか」「いつ示すか」も含めて,授業の計画をしてほしいことを強調されていました。
ワーク 「枕草子」指導案を作成す  
ワーク 「枕草子」指導案を作成する
 ワークの内容は,グループに分かれて小中学校での「枕草子」指導案を作成することです。
 ワークの最中には,中学校の先生が小学校の先生に「先生の授業を見てみたい。」,小学校の先生が中学校の先生に「小学生には,それは難しいです。」という声が聞こえてきました。
 ときに笑いが飛び交うなど,先生方自身が作品に楽しみながら,それぞれのグループならではの「枕草子」の学習方法を具体化していきました。
各グループからの発表く  
各グループからの発表
 各グループは,提案を画用紙にまとめ,それぞれの案を発表をしました。一例を挙げると,
【小学校】
  • 絵を描き,それをもとに自分ならではの「秋のをかし」を紹介する。
  • 「平成版枕草子」を書く。
  • それぞれの季節の「意外にいいな」を話し合う。
  • 「枕草子」で共感できること,できないことを話し合った後,自分なりの「をかし」を発表する。
【中学校】
  • 文章を読んで感じた疑問点をもとに,「枕草子」が書かれた当時のことを調べ,報告する。
  • 作者像に触れながら,それぞれの季節の「をかし」「わろし」を書く。
  • ジャンルを定めて,「自分流枕草子」を書く。
 など,さまざまな提案が出されました。
 グループで話し合ったり,発表を聞いたりする中で,それぞれの校種で考えていること,指導していることが実感できたようです。

 各グループの発表の後,石川俊一郎先生からは,国立教育政策研究所の資料を示しながら,学習指導要領にある言語活動例はあくまで例であり,古典の学習と指導事項の結びつけ方は一様ではないことを,説明いただきました。
まとめ  
まとめ
 最後に,田中洋一先生からまとめの言葉となりました。
 古典の学習の場合,同じ教材で,どのようにして学習の段階をつけていくか,どこに視点を当てて指導していくかが大事になってくる。
 古典の指導の場合,指導者がどの程度作品の世界を理解しているかが,大事になってくる。小学校の先生には,古典の作品をもう一度読み直して,先生自身が古典の良さに触れて,授業を行ってほしい。
 また,中学校の先生には,小学校で古典の作品に触れてきていることを踏まえ,これまでの既成概念にとらわれず,新しい授業のしかたを模索してほしい,と古典の指導の在り方だけでなく,学び手としての在り方にも触れていただきました。
【講師の先生のひとこと】
田中洋一先生  
田中洋一先生
 ご参加いただいた先生方の協力で充実した会となりました。小中学校の先生が一緒に古典指導の在り方を考えるという方式は,授業の様子や課題などをお互いに理解できて有意義でした。熱心に協議していただいた先生方と関係各位に感謝申し上げます。
青山由紀先生  
青山由紀先生
 小,中学校の先生方が混じってのワークショップは,初の試みでした。
 校種によって,同じ古典教材でもねらいや扱い方が違うことが具体的にわかり,興味深くあっという間の時間でした。
石川俊一郎先生  
石川俊一郎先生
 小中合同の分科会ということで,焦点をどこに絞るか悩みましたが,小中の先生方一緒にグループ編成をし,共通教材を設定したことで密度の濃い分科会となりました。発表では,小中の系統性を踏まえ,指導事項を明確にした提案があり勉強になりました。