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 第6回大会のご報告

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言語活動を活かした授業づくり―言葉から考えてみる
 国語科において,言語活動を楽しく価値あるものにするためには,どうすればよいのでしょう。ワークショップDでは,お二人の先生による講義と,全員参加型のグループワークを交互に行いながら,このテーマについて具体的に考えました。

ワークショップの流れを紹介します。
はじめに:国語科の特色(森山先生)  
はじめに:国語科の特色(森山先生)
 「国語科は,『正解』のある教科でしょうか。それとも決まった『正解』のない教科でしょうか。」ワークショップDは,森山先生のこんな問いかけから始まりました。
 「国語の力」には,次の三つの種類があると考えられます。
  1. 「基盤的言語力」:音声・語彙・文字・文法など言葉の基盤となる力。
  2. 「文脈的言語力」:情報を関連づけ,整理・編集し,文脈の中での意味を捉える力。
  3. 「主体的関与」:①と②を押さえた上で,その言葉や内容について考えたり,評価したりする力。
 ①②の段階には「正解」がありますが,③には必ずしも「正解」があるとは限りません。その両面をもつのが国語科であり,そこに国語科のおもしろさと難しさがある,と森山先生はおっしゃいます。
話し合うための「しかけ」をつくる(達富先生)  
話し合うための「しかけ」をつくる
(達富先生)
 では,「国語の力」がつく授業にするためには,どうすればよいでしょう。「読むこと」の授業は,次の三つの過程から組み立てられます。
  1. 一人一人が自分の考えをもつ(ひとり学び)
  2. 考えを学級で交流する(みんな学び)
  3. 交流の成果を自分自身に戻して,考えを深め,高める(ひとり学び)
 ②の交流・話し合いの時間は,学校だからこそできる大切な時間です。この過程を充実させるためには,生徒自身に「つけたい力」を自覚させるとともに,話し合いの前の①の段階で,生徒が進んで話し合いたくなるような「しかけ」を作っておくことが必要です。


[グループワーク]ト書きを考えよう  
[グループワーク]ト書きを考えよう
 ここで,「しかけ」の一例としてグループワークを行いました。「お手紙」(アーノルド=ローベル作/光村図書・小学校国語二下)で音読劇をする前に行うという設定で,作品中の会話文の後に,「話し手がどんな様子でその言葉を口にしたか」がわかるようなト書きを考えて,グループで交流するというものです。「かえるくんは,がまくんの近くに行って語りかけました。」「がまくんはきっぱりと言いました。」「がまくんは遠くの方を見つめてつぶやきました。」各グループでいろいろな案が出され,話し合いは大盛り上がり。「あ〜」「なるほど!」といった声があちこちから聞こえてきました。


普段の言葉を活性化させる(森山先生)  
普段の言葉を活性化させる(森山先生)
 ある言葉を「知っている」というとき,その言葉は「理解語彙」か「使用語彙」かに分けられます。前者は「聞いて意味のわかる」言葉,後者は話す・聞く・書く・読むの中で,「自分で使える」言葉です。また,ある表現を他の言葉で置き換えてわかりやすく言い換えることを「パラフレーズ」と言います。
 理解語彙・使用語彙を増やし,語彙力を高くすること,そして,パラフレーズの力をつけることは,言語活動を支える基盤的言語力をつけることにつながります。そのためには,わずかな時間でもよいので,日頃から言葉に触れ,言葉について考えたり,パラフレーズの練習をしたりする機会を設けることがとても大切です。


[グループワーク]ものの様子を表す言葉を考えよう  
[グループワーク]
ものの様子を表す言葉を考えよう
 ここで,二つのグループワークを行いました。 一つ目は,「歩く様子を表す言葉」を考えるというもの。どのグループがいちばん多く出すことができるかを競いました。すると,写真のとおり,前の黒板は,上位グループから挙げられた言葉で埋め尽くされてしまいました。言葉だけで,歩く人の年齢(よちよち・よたよた)や数(ぞろぞろ),気持ち(とぼとぼ),スピード(のろのろ),足の状態(ぺたぺた:裸足)などを伝えることができるという森山先生のお話を,先生方は熱心に聞いていらっしゃいました。

[グループワーク]文章を自在に作り直そう  
[グループワーク]
文章を自在に作り直そう
 二つ目は,パラフレーズのグループワークです。次の三つの文を,「子供たち」「トロッコ」「谷間」それぞれを主語にして,一つの文にするとどうなるかを考えました。こちらも,参加者の先生方は,相談しながら楽しそうに取り組んでいらっしゃいました。
  • 子供たちがトロッコに乗っている。
  • トロッコは谷間をゆっくり進んでいる。
  • 谷間には紅葉が夕日をうけて美しく輝いている。


「情報の取り出し」だけで終わらせない(達富先生)  
「情報の取り出し」だけで終わらせない
(達富先生)
 国語科の授業では,「教材文から情報を取り出して表にまとめる」ということをよく行います。ここで注意したいのが,「表を作ること」を学習の目的化してしまわないようにすること。せっかく表を作っても,情報を正しく取り出せたかどうかの答え合わせをして終わりにしてしまうのでは,国語の力はあまりつきません。
 「表を作るところで終わらせず,表を二次活用させましょう。」と達富先生。表に取り出した情報を,加工したり関連づけたりして再構成し,自分の言葉でまとめ直すというところまで,ぜひ授業で行いたいものです。自分の言葉で言い換える(パラフレーズ)ことで,教材の内容を本当に理解できているか,生徒自身も教師も確認することができます。


終わりに:言葉を学ぶ楽しさを(森山先生・達富先生)  
終わりに:言葉を学ぶ楽しさを
(森山先生・達富先生)
 私たちは,言葉を介在して,いろいろな人といっしょに生きています。ワークショップの最後には,そんな言葉の学びに寄り添うことのできる,国語教師の仕事の尊さ,またおもしろさ,楽しさについてお話がありました。
 言語活動を充実させるために,「何を」(森山先生),「どのように」(達富先生)教えればよいかを具体的に教えていただいた二時間。お二人の先生には,盛大な拍手が送られました。
【講師の先生のひとこと】
森山卓郎先生  
森山卓郎先生
 言語活動を充実させていく前提として,一人一人がしっかりとした基盤的言語力をつけておくことが必要です。そのはたらきかけの一つとして,森山は,主に表現分析,語彙拡充と文法的パラフレーズのワークショップを提案させていただきました。先生方といっしょに楽しく「言葉」と向き合うことができたひとときでした。「言葉の世界を深める」時間を共有できたことに「感謝!」です。
達富洋二先生  
達富洋二先生
 言語活動を価値ある学びの過程にするには,学び手を言葉を学ぶ楽しさに浸らせることが必要です。そのしかけの一つとして,達富は主に言語活動とパラフレーズからはじまる言葉の授業を紹介させていただきました。言葉を見つめる子どもの姿を想像することで授業論を具体化させることができました。「言葉の世界を楽しむ」時間を共有できたことに「感動!」です。