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 第6回大会のご報告

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今からはじめる国語デジタル教科書の活用
 国語デジタル教科書を使えば,子どもたちを意欲的に授業に取り組ませたり,言葉や文の意味を確かめたり,イメージを具体化したりすることができます。このワークショップでは,国語デジタル教科書を使った授業づくりを,講師のお二人と参加者とが一緒になって考えます。

ワークショップの流れを紹介します。
進む教育の情報化  
進む教育の情報化
 ICTをどのように授業の中で取り入れていくのかを考えるにあたり,まず中川先生から,最新の教育の情報化について説明がありました。電子黒板を教師が操作している様子や,児童が一人一台の情報端末を手にして,積極的に授業に参加している様子など,実際の授業風景の写真や映像を交えた説明を通して,ICTを活用した教室のイメージを共有することができました。
「国語デジタル教科書」を使って「書き込む」,「動かす」,「見る」  
「国語デジタル教科書」を使って「書き込む」,「動かす」,「見る」
 
「国語デジタル教科書」を使って「書き込む」,「動かす」,「見る」
 参加者のおよそ半数が「国語デジタル教科書」を初めて目にするということもあり,中川先生から,「書き込む」「動かす」「見る」の三つにしぼって,「国語デジタル教科書」の主要な使い方が示されました。「国語デジタル教科書」を使えば,拡大投影された本文にマーカーやサイドラインを書き込んで情報を焦点化したり,挿絵を拡大して動かして児童の読み取りを確かめたりできます。また,デジタル教科書には参考資料や動画が豊富に収録されているので,それらを見ることで,教科書以外のところから容易に情報を補完することができます。「これは便利!」そういった声も会場から聞かれ,ワークショップの参加者は,中川先生のポイントを押さえた解説を聞きながら,「国語デジタル教科書」の活用についてイメージをふくらませていました。

「国語デジタル教科書」を取り入れた授業づくり  
 
「国語デジタル教科書」を取り入れた授業づくり
 
「国語デジタル教科書」を取り入れた授業づくり
 では,「国語デジタル教科書」は,具体的に授業のどのようなシーンで使うことができるのでしょうか。ここでは,小学校現場で日常的に「国語デジタル教科書」を用いた指導をなさっている講師の石川先生から,教材に即して活用方法が紹介されました。

 たとえば,四下「ごんぎつね」では,教材内の挿絵をすべて見渡すことができる「挿絵一覧」を提示すると,児童が作品のあらすじを紹介しやすくなったことや,五年「わらぐつの中の神様」では登場人物の台詞に線を引くことで,線が引かれていない箇所から「語り手」の存在に着目させたことなどが紹介されました。ほかにも五年「千年の釘にいどむ」の挿絵に書き込み,そこから問いかけることによって,児童に気づきが生まれ,内容理解が深まったとのこと。これらの説明に即して石川先生から書き込み方法や拡大方法の実演などがあると,明日から使えるデジタル教科書活用方法を持ち帰ろうと,メモをとったり,書き込み内容を写真に収めたりする参加者の先生が多く見られました。
授業準備にも効果的  
授業準備にも効果的
 石川先生によると,「国語デジタル教科書」の活用には,効果的な指導のほかにもメリットがあるとのこと。それは,教材作成などの授業準備に費やす時間が大幅に節約できるということです。多くの先生は授業に先立ち,教材文を大きな模造紙に書き出したり,挿絵を拡大印刷したりしているはず。しかし,「国語デジタル教科書」を使えば拡大投影はもちろん,前の授業で書き込んだ内容をクリック一つで保存することができます。また,「国語デジタル教科書」は教材ごとに加工可能なワークシートが収録されているほか,教師が挿絵画面に吹き出しなどの書き込みを施し,プリントアウトするだけで簡単にオリジナルワークシートを作ることができます。授業準備を効率的に省力化し,児童と接する時間を増やすことができるとの石川先生の発言に,大きくうなずいている参加者が多く見られました。
「きらりと光る」デジタル教科書活用法を考えよう  
「きらりと光る」デジタル教科書活用法を考えよう
 
「きらりと光る」デジタル教科書活用法を考えよう
 「国語デジタル教科書」の機能について押さえた後は,グループごとでオリジナルの活用法を考える時間です。中川先生の開始の合図と同時に,学年ごとに分けられた6つのグループが一斉に熱のこもった話し合いを始めました。教材ごとに参考資料を確認するグループ,先に教材を決め色々な機能を確かめるグループと,アプローチは異なりますが,どのグループも他のグループに負けないユニークな活用法を考えようと一生懸命になっています。講師もまざって,楽しく,真剣に議論するシーンも見られました。
使用者の数だけある「国語デジタル教科書」活用法  
使用者の数だけある「国語デジタル教科書」活用法
 
使用者の数だけある「国語デジタル教科書」活用法
 話し合いの時間は,あっという間に過ぎてしまい,いよいよ,発表の時間です。作品のイメージ映像を背景にして俳句の朗読音声が再生される「鑑賞」機能をきっかけに,児童の伝統的な言語文化への関心を高めようとする試みや,挿絵上で多様なスタンプ機能を使って登場人物の心情の変化を捉えようとする提案も見られました。話を聞いていた参加者からは「明日から使ってみよう」「他の教材でも同じことができそう」という声が聞かれました。中には,教師役と児童役に分かれて授業でのやり取りを実演するグループも。教師がどのように示すか,というだけでなく,児童が「国語デジタル教科書」を使った授業にどのように関わっていくかという,密度の濃い話し合いの様子が伺えました。どのグループからも,個性的で「きらりと光る」活用方法が提案されていました。
アナログ重視のデジタル活用を目指そう  
 
アナログ重視のデジタル活用を目指そう
 
アナログ重視のデジタル活用を目指そう
 充実したワークショップも,まとめの時間です。最後に,講師のお二人から,参加者に向けて,今後どのようにICTを授業に取り入れてもらいたいかというメッセージが送られました。

 中川先生からは,デジタル教科書はたしかに便利なツールではあるけれども,それだけでは授業はできない。したがって,授業者には従来の黒板やノートも使いつつ,デジタル教材を併用していく「アナログ重視のデジタル活用」が求められるのではないかという話がありました。また,石川先生からも,ICTを活用した授業は教師や児童にとって楽しくなるけれども,授業のねらいや,教材の特性,児童の実態をふまえて,授業者が適切な形で授業に組み込んでいくことを心がける必要があるという言葉が寄せられました。

 お二人に共通する,「授業者はデジタルを使うのであって,デジタルに使われてはならない」という考えは,参加者には忘れられないものとなったのではないでしょうか。
【講師の先生のひとこと】
中川一史先生  
中川一史先生
 各グループとも,国語科でねらうことを大事にしながら,デジタルが生かされる場面を発表していました。他のグループからも「ほう!」「なるほど!」という声がとんでいました。
「書き込む」「拡大する」「保存する」「資料を使う」など,「国語デジタル教科書」の特性を生かし,授業について検討したひとときになったのではないかと思います。
石川 等先生  
石川 等先生
 実際の授業場面を想起しながら,「この教材でこの機能を!」という検討をしていただきました。各グループから提案された内容はどれも「きらりと光る」ものがあり,私自身,とても参考になるものばかりでした。今回の発表では,白いマーカーや白い四角ツールで文章や挿絵などを隠す手法を使ったアイディアが多かったことも印象的でした。