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 第6回大会のご報告

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読みの学習 小学校新教材を生かす
 学習指導要領では,「自分の考えの形成および交流」に関する指導事項が強調されています。では,自分の考えを形成し,交流することで,さらに考えを広げたり深めたりすることが学習の最終目標だとしたとき,発達段階に応じて,何に配慮し授業を組み立てていけばよいのでしょうか。ワークショップAでは,子どもたちに,自分の考えを形成させるための段階的な指導のあり方について学び合いました。

ワークショップの流れを紹介します。
実践に学ぼう  
実践に学ぼう
 「自分の考えをもとう」と呼びかけるだけでは,子どもたちはとまどってしまいます。そんなとき,どんな活動を設定したり,観点を与えたりすれば,子どもたちが自分の考えや感想をもてるようになるのでしょうか。ここでは,登場人物やせりふを増やして脚本を作らせることで,作品の読みを深め,感想をもちやすくさせる(3年「とらとおじいさん」),子どもたちが探してしまいがちな「何か意味のあること」を求めず,読後感とそれにつながった表現に着目して感想を書かせる(4年「初雪のふる日」)など,四つの教材の実践例を,ワークシートや子どもの作例とともに紹介していただきました。印象的だったのは,「まずは,教師が見本を見せてあげることが大事」という言葉です。自分の考えをたせる場面に限らず,どんな学習においても大事にしたいことだと考えさせられました。
指導のアイデアを出し合おう  
 
 
 
 
指導のアイデアを出し合おう
 
指導のアイデアを出し合おう
 実践に学んだ後は,グループに分かれて,指導方法について考えます。発達段階に応じた「感想を書く」授業のあり方を考える,ということで,2年「わたしはおねえさん」(石井睦美),4年「三つのお願い」(ルシール=クリフトン),6年「海の命」(立松和平)の3教材が用意されました。参加者は6グループに分かれ,「自分の考えをもたせるためにどんな指導をするか」「交流させる際の工夫や留意点」について考えます。
 まずは参加者一人一人が,教材文を読んで,何が感想をもたせることにつながるかを考えました。しばらくの静かな時間の後,どこからともなく,作品に対する参加者自身の感想や,実際に授業をしたときの様子,「感想をもたせる」という指導について日常的に抱いている悩みや日ごろの取り組みなど,話し始める声が聞こえ始めました。
 「感想を書きましょう」という言葉ではない,学習への誘いかけはないか,あらすじばかりになりがちな感想文からどう脱却させるか――。教材文特有の観点と,「感想をもつ」学習全体に関わる視点から,どのグループも熱心に話し合いが続きます。松木先生と黒田先生もグループの話し合いに参加し,自身の実践からアドバイスをされていました。
こんなことに着目させよう!―グループワークより  
こんなことに着目させよう! ―グループワークより
 あっという間にグループ発表の時間です。低学年の教材を選んだグループから順に,指導のアイデアを発表してもらいました。各グループの発表では,自分の感想をもたせるようにするために,読みをどう深めるかの手立てとして,次のようなことが挙がりました。
<例>
  • 出来事が起こったときや別の人物と会話をしているときなど,作品の中心に関わる部分での中心人物の表情を考えさせる。
  • 「もし,違う行動をとっていたら」と考えさせることで,中心人物の気持ちや成長(精神的な変化)をとらえさせる。
  • 吹き出しのワークシートを用意し,中心人物の言葉を考えさせることで気持ちに迫る。
  • 自分の経験と重ねたり比べたりして読むための,具体的な観点を提示する。
  • 中心人物とは別の人物の視点から考えさせる。
最後に  
最後に
 グループ発表後の時間を使って,今回の教材の一つ,「わたしはおねえさん」について,黒田先生から実践を報告してもらいました。読みの課題を作る,子どもの疑問を生かして読みのずれを埋める,動作化をして読みを深める,といった段階を経て感想を書かせた事例を,子どもの発言例や感想例を示しながら紹介していただき,子どもの気づきを促す授業のあり方を考えることができました。
 ワークショップ開始時には,「考えや感想をもたせる指導は難しい」とお考えだった参加者も,グループでの話し合いや,他のグループの発表,実践報告を経て,「これを取り入れてみよう」と,明日の授業のヒントを得たようでした。
【講師の先生のひとこと】
松木正子先生  
松木正子先生
 毎回,参会の先生方からいろいろな刺激をいただけるのが楽しみで続けています。今回も,「感想をもたせる」「感想を交流させる」という言語活動をどうしたらいいか,学び合う先生方の生き生きした姿勢に,多くのものをいただきました。当日はもとより,準備段階で黒田先生とあれこれ考えるのも楽しい時間です。来年も楽しみです。
黒田英津子先生  
黒田英津子先生
 自分の考えを形成するためには,まずは自分の感じたありのままを出させること,そして,なぜそう感じたのかを相手に伝わるように丁寧に言語化するという活動が大切だと思いました。ワークショップでの先生方の様子を見て,仲間と一緒に「ああでもない,こうでもない」と言いながら教材研究するのは,とても楽しいことだと思いました。ありがとうございました。