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 第6回大会のご報告

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今さら人には聞けない国語の授業入門・小学校編
 この講座は,受講する先生方一人一人が,授業で悩んでいることを発表し,それらの課題について安田先生が答えていく形式で進められました。これまでの経験をもとに安田先生が示される解決の糸口に,参加者の方々は熱心に耳を傾けていました。

ワークショップの流れを紹介します。
どんなことで悩んでいますか?  
どんなことで悩んでいますか?
 まずは悩みを聞くことから――。先生方が実際に悩んでいることに対して,安田先生が答えていくという進行説明の後,参加者全員が自己紹介とともに,今いちばん授業で悩んでいること・困っていることを発表しました。「ノート指導・板書の整理のしかたについて知りたい。」「教師の言葉づかいはどうあるべきか。」「語彙をいかにして獲得させるか。」「作品をまるごと指導しようとすると,読みの観点を押さえられない。」「児童の個人差をどのように指導するか。」「日本語を母語としない子どもをどう指導すればよいか。」など,たくさんある悩みの中から,特に悩んでいることを挙げていただきました。全員が発表することで,自分以外の先生がどんなことに悩んでいるのか,悩みの情報を共有することができました。
学習の場を作る  
学習の場を作る
 授業が始まるまえに,学習の場を整えること。教師は,丁寧な言葉で話すことを心がけたい,そうすることで,授業と授業以外の時間とのメリハリをつけることができると安田先生。同時に,教科書やノートの位置,字を書く姿勢など授業の前のルール作りも大切です。
 さらに,重要なことは,「聞く」子どもを育てること。どういう話,話し方をすると子どもたちが集中して聞くのかを教師として見極めたいものです。児童があまり自分の方を向いていないときは,説明がまわりくどいか何度も同じことを言っているとき。安田先生の提案する聞く子を作るコツは,一度しか話さないこと。聞かないと困るという状況をあえて作り,聞くことの大切さを実感させます。
児童の実態に応じて  
児童の実態に応じて
 いよいよ,模擬授業風に講座が進められていきます。題材は「モチモチの木」。授業の初めに,目標の立て方が話題となりました。子どもたちに目標を作らせなければと悩む先生方も多いようです。学年が上がるにつれて,教師の出番がどんどん減っていく指導が望ましいですが,児童の実態に応じて決めていくことが大切。安田先生は,それまで経験した学び方をカードにして教室の後ろに掲示し,子どもの財産としていたそうです。
 まるごと読みのしかたが分からないと悩む先生も多いとのこと。取り扱う視点を絞って,児童の実態に合わせて指導していきましょうと安田先生。たとえば「モチモチの木」では,「人物を知る」「文章構造を考える」「ストーリーを追う」「表現」などの学習の視点が考えられます。今回は「表現」に着目して模擬授業風に講義が進められていきました。
さまざまな手立てを紹介  
さまざまな手立てを紹介
 模擬授業はどんどんと進んでいきます。児童たちの発言を想定しながら,板書を始める安田先生。板書の役割は,子どもの発言や意見をそのまま書きとめることではなく,違いや共通点を視覚化すること。字の色や大きさを意識的に選びながら,板書を進めます。
 板書のルールを明確にするとともに,児童のノートのルールも明確にします。大切なことは赤,気づきは青で書く,最後には,必ずめあてとめあてに関するまとめを書くなど,板書と連動しながらノートのルールを決めてあげることで児童が自らノートを作っていけるようになります。上手なノートはコピーして掲示してすると,子どもたちのお手本ができ,書き方を共有することができます。
 さらに話題は,語彙の拡充へ。「『うなる』のはどんなとき?」など,教師が,文章中に出てきた言葉を児童の生活と結び付けていくことで,児童の語彙を拡充することができます。
それぞれの差に応じて  
それぞれの差に応じて
 最も悩んでいらっしゃる先生の多かった「児童の個人差」。特に書くスピードの差は,先生方を悩ませているようです。まずは,全員に全部を書かせようとすることをやめることと安田先生は提案します。「今日は,これだけは必ず書くね。」など,優先順位をつけてあげると,個人に合った学びをすることができます。どうしても遅い子は,教師が手伝ってもいいので,ノートができたという満足感をもたせてあげます。
 また,1時間の中で,全員が少しでも参加できる場面を作ることも重要です。机間指導でノートに書いたことを褒めると自信をもって発言できるようになる,授業の終わりに発言のなかった児童に音読を発表する機会を作るなど,活躍する場を作る手立てが紹介されました。
 さらに,今回質問の多かった日本語を母語としない児童への対応へも話題が進みました。安田先生がこれまでの経験から気をつけてきたことは,まず,その子にいっぱい友だちを作ってあげること。「教師一人でなんとかしようとしてもとてもできないので,子どもの力を借りましょう。」という言葉が印象的でした。「立つ・座る」「話す」「手を挙げる」など,簡単な指示をまとめた表を作って掲示し授業で活用する,外国語を生かした活躍の場を作るなどの手立ても紹介されました。
【講師の先生のひとこと】
安田恭子先生  
安田恭子先生
 学生さんからベテランの先生方まで多彩な参加者と,「板書」を中心に学び合いました。特に母国語が日本語ではない児童への対応も話題になりました。「今さら聞けない」と思っていたことを気軽に尋ねられるというネーミングの良さが参加しやすさの要因のようです。