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 第6回大会のご報告

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今さら人には聞けない国語の授業入門・小学校編
 この講座では,前半では実際の授業の流れを追うようにしながら,後半では参加者の方からの質問をメインにしながら,「今さら聞けない」学習指導要領の理念,授業の組み立て方,教師の手立てなどについて,輿水先生が歯切れよく分かりやすくアドバイスを行いました。

ワークショップの流れを紹介します。
学習指導要領の変遷をたどってみよう  
学習指導要領の変遷をたどってみよう
 グループごとに分かれて座り,自己紹介をしたら,講座の始まりです。輿水先生が用意したのは,学習指導要領の変遷や理念が示された資料。今回は,授業のねらいを明確にするときに基本となる,学習指導要領について考えてみます。理念について押さえながらこれまでの変遷をたどると,学習指導要領は,およそ10年ごとに改訂されてきたことが分かります。
 ここで,輿水先生から,「なぜ,10年ごとの改訂なのでしょう。予想して書きましょう。」という問いかけ。参加者への課題が示されました。
「宝くじ」授業  
「宝くじ」授業
 参加者の方が,課題についての自分の考えを書き終えた頃,輿水先生が話し始めます。「みなさん,どうですか。自分が指名されやしないかと,どきどきしませんか。それは,自分の考えが正しいかどうか,発問者の思う答えに合うかどうかと考えるからです。」と。そして,そのような「答えを当てるか当てないか」という授業を,輿水先生は「宝くじ」授業と呼んでいるのだそうです。「それぞれの考えを問うているのだから,答えを当てるか当てないかではないんです。自分の考えをもって自分の言葉で説明できることが大事。教師の中に答えがあるわけではないんです。『宝くじ』授業をしているかぎり,子どもたちに考える力は身につきません。」と,歯切れよく展開されるお話に,参加者の方は引き込まれていきます。
書いて,人と比べて,整理して,発表する  
書いて,人と比べて,整理して,発表する
 自分の考えをもたせるために有効なのは,「書くこと」を取り入れることだと輿水先生は話します。まずはどう思うかという予想を,それも「根拠のある」予想を書かせます。それにより,思考の「見える化」を図るのだそうです。
 それから,自分の考えと人の考えを比べること。見せ合い,比べることで,「自分の考えが正しいかどうか」という気持ちはだいぶ和らぐといいます。ここで,実際に,参加者の方にも,先ほど示された課題について,グループ内で交流してもらうことになりました。「このとき大切なのは,時間を決めて取り組ませることです。見通しをもって学習することにつながります。」と,輿水先生がポイントを付け足します。
 続いて,交流で得た新しい発見を踏まえ,自分の意見として取り入れられそうなことを整理する段階に進みます。考えやその根拠を,書き換えたり書き加えたりするのです。交流で得たことを個人の思考に返すという活動を,参加者の方もたどります。
 「このような段階を踏んでから発表することで,自分の考えを発表することに抵抗感が和らぐのです。」という輿水先生の言葉に,うなずく参加者の方の姿が見られました。
「価値づける」板書  
「価値づける」板書
 子どもたちに考えを発表させるとき,ポイントとなるのが板書だと輿水先生は主張します。「子どもたちの頭の中から出てきたさまざまな考えを,統合して価値づけて,構造化して子どもたちに見せる。それが板書。順番に書いていくだけではいけませんね。」と。

書いて,人と比べて,整理して,発表する  
日常に役立ててもらいたいこと
 ここで,話題は,初めに示された「なぜ,10年ごとの改訂なのか」という課題に戻ります。先ほどから教師役として,参加者の方に活動を促していた輿水先生が,この課題に対する自身の考えを語りました。「私は,大きく二つの要因があると思っています。一つは,新しい教育のあり方が根付くまでには10年程度かかるということ。もう一つは,10年程度で,社会情勢が変わり,新たな社会のニーズに対応する必要が出てくるということ。」というものです。参加者それぞれの考えと合わせて,輿水先生が考えるこの2点については理解しておいてもらいたいという意図からです。
 じっくり自分で考えたうえで,必ず押さえておきたい大切なことについては全員で確認するという,「考えを問う」授業の締めくくりにふさわしい場面だったといえるでしょう。「授業では,この後,振り返りを書かせたいところですが……今日たどってきたような授業の組み立てを,日常に役立ててもらえたらと思います。」と話す輿水先生を,明るいまなざしで見つめる参加者の方の姿が印象的でした。
【講師の先生のひとこと】
輿水かおり先生  
輿水かおり先生
 子どもたちに,少しでも「言葉の力を」という先生方の熱い思いが印象的でした。一コマ60分。アッという間に時間が経過しました。もっと参加者の本音を受け止めたやり取りを実現したかったのですが……。明日の授業に少しでもお役に立てたならうれしいです。