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 第5回大会のご報告

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ワークショップB/「デジタル教科書」を活用したわかりやすく楽しい授業
 文章だけの表示,挿絵だけの表示,文章や挿絵の拡大表示など,さまざまな機能を備えた「国語デジタル教科書」の効果的な活用により,国語の授業はより豊かなものとなることでしょう。文章と挿絵を行き来しながら読む説明的な文章,「『鳥獣戯画』を読む」(光村図書小学校「国語」教科書6年)を素材として,「国語デジタル教科書」を活用することでより活動が活発になったり,思考が深まったりする,そんな国語の授業場面を考えました。

ワークショップの流れを紹介します。
どう使おう,「国語デジタル教科書」  
どう使おう,「国語デジタル教科書」
 「デジタル教科書を授業で活用したことがある方。」という問いかけに,約半数の参加者の方の手が挙がります。そんななか,初めに,デジタル教材の活用を含めたICT活用をめぐる国の政策について押さえるため,中川先生から2015年の教室の様子を描いたイラストの提示がありました。電子黒板,天井つり下げ型プロジェクタ,児童一人一台の情報端末を備えた授業風景を目にし,会場からは驚きの声が聞かれました。それから,中川先生のお話は,「国語デジタル教科書」を授業で活用することの効果ということに進みました。鈴木先生のコメントとのかけ合いが楽しい一場面でした。
「読む」ってどういうことだろう

「読む」ってどういうことだろう
 
「読む」ってどういうことだろう
 鈴木先生にバトンタッチして,実際の教材を想定し,「国語デジタル教科書」の授業での活用について考えていきます。教材は「『鳥獣戯画』を読む」(高畑勲)。挿絵といっしょに読んでいくというつくりの文章です。
 この教材を扱った授業場面を構想する前段として,まず,「読む」とはどういうことなのかについて考えることになりました。鈴木先生が用意した写真を読んで,そこから分かることをワークシートに記入し,発表するという活動の流れです。「自転車に乗っている人が二人いる」「季節は初夏である」「近くに横断歩道がある」など,さまざまな「読み」が出されました。鈴木先生は,それらの「読み」を分類してホワイトボードに位置づけていきます。最終的に,5種類の「読み」が示されることとなりました。このような多様な種類の「読み」があることを踏まえ,また,それを駆使しながら「『鳥獣戯画』を読む」を読んでいくようにします。

組み合わせて使おう  
組み合わせて使おう
 授業での活用場面を考えるためには,教材となる文章を理解することとともに,「国語デジタル教科書」にどのような機能があるかを知ることが重要となります。鈴木先生から,「『鳥獣戯画』を読む」の画面を用いながらの機能紹介がありました。印象的だったのは,「『国語デジタル教科書』が映し出された電子黒板も,黒板も教科書もノートも,学習場面に応じて,そのすべてを組み合わせて使いながら授業をしていくのであって,すべてを電子黒板一つに担わせるものではない」という言葉。それぞれの道具の特性を押さえて使い分けたり併用したりする必要があるということです。
見て,聞いて,触って,考える  
見て,聞いて,触って,考える
 鈴木先生から,三つの学習活動例が提示されました。(1)「絵の特徴をとらえて解説の文を書く」,(2)「絵の動きをとらえて物語を書く」,(3)「『筆者の主張』を読み取る」。このうちから一つを選んで,グループ活動に入ります。それぞれの学習活動を展開する際,どのような学習要素を押さえる必要があるのか,そしてそのために,「国語デジタル教科書」をどのように活用することができるのか,それを各グループで検討していきます。
 文章を読むことから始める,まずは「国語デジタル教科書」を操作してみる,グループごとの進め方で課題にとりかかる参加者の方々の姿が見られました。それから30分後,話し足りないけれども,発表の時間です。「挿絵の一部分だけを見せて絵を読ませ,文章を読む際の導入とする」「横長の挿絵を4こま漫画のように場面ごとに区切って,その意図を説明することで『絵巻』の性質をとらえる」など,どのグループからもアイデア豊かな授業場面が発表されました。他のグループの発表に感心するなど,会場はぎやかな声に包まれました。
ほかにもある,「国語デジタル教科書」の使い道  
ほかにもある,「国語デジタル教科書」の使い道
 内容盛りだくさんのワークショップ,最後は,中川先生と鈴木先生によるまとめの時間です。「情報の共有」「イメージを補う」など,デジタル教材を活用するときの意図として考えられることが中川先生より提示されました。この意図の違いによって,デジタル教材のどのような機能をどのように活用するかが違ってくるのだということです。そして,鈴木先生からは,このワークショップでは触れられなかった,「国語デジタル教科書」の活用アイデアが紹介されました。それらはすべて,そこで身につけさせたい力と深くかかわるものであり,デジタル教材の授業での活用場面を考えることは,指導目標に対する手立てを考えることにほかならないのだということが分かるものでした。
 ともに,短い時間の中でアイデアにあふれた活用のしかたを考えた参加者の方に,ぜひ,今後も日常的に授業でのデジタル教材の活用のしかたを考え,それを生かしていってもらいたいという両先生のメッセージが込められていました。
【講師の先生のひとこと】
中川一史先生  
中川一史先生
 今回は一つの教材にしぼり,「国語デジタル教科書」の活用を考えました。そして,教師の意図,タイミング,見せ方など,授業の工夫次第で有効に活用できることをあらためて実感した時間になりました。
鈴木 彰 先生  
鈴木 彰 先生
 言葉に対するセンス,絵を授業に生かす力の豊かなみなさんが参加者として集まり,充実したワークショップを行うことができました。細長い巻物,生き生きと描かれた「鳥獣戯画」の絵,高畑氏の独特な表現などの教材の特性をつかんで生かし,デジタル教材に慣れない先生でもデジタル教科書の長所を十分に引き出せる授業方法がたくさん創り出されました。ただ使うだけでなく,国語の学習目標の実現を目指す質の高い授業作りをしている様子から,新しい時代の豊かな授業を目にした気がします。ありがとうございました。