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 第5回大会のご報告

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読みの学習 小学校新教材を生かす
 自ら伝え合い,関わり合うような,主体的に学ぶ子どもを育てていくために,教師に必要なこと。それは,自ら作品に立ち向かい,自分で自分の分からないことに気づき,その解決方法を探し,他と関わり合いながら自分の答えを導いていく,子ども主体の学習活動を構想することではないかと,講師の先生方はおっしゃいました。ワークショップAでは,教科書の新教材を用いて,「課題を見つける」「課題について追求する」ということから,子どもの主体性を引き出す学習活動のあり方について考えました。

ワークショップの流れを紹介します。
教材を「科学する」とは?  
教材を「科学する」とは?
 初めに,黒田先生から,「『やまなし』を科学する」と名づけられた実践の紹介がありました。教材から追求したいテーマ(課題・観点)を見つけ,それについて考える=「科学する」ことを通して,教材への理解を深め,それを「やまなし学会」で発表し合うことで,さまざまな視点から作品について考えるという実践です。子どもたちがまとめたものや,話し合いの様子などから,主体性を引き出す工夫と,「分かったつもりにさせる授業ではなく,分からないことに気づかせる授業」の大切さについて学びました。
みんなで「科学」しよう(1)  
みんなで「科学」しよう(1)
 参加者が「科学」するのは,「百年後のふるさとを守る」(河田惠昭)という作品です。これは,江戸時代,安政の大地震が起こったときに,村人を津波から避難させ,その後の村の復興に尽くした人物を取り上げた伝記です。東日本大震災の傷も癒えない今このとき,この作品をどのように読むか,子どもたちにどのように与えていけばよいだろうか。一方でそのようなことも考えながら,個々に作品を読み込み,追求したいテーマを考えました。「長い作品だからこそ,追求したいことがたくさん見つけられるのではないだろうか」という講師陣の予想どおり,参加者からたくさんのテーマが挙げられました。
みんなで「科学」しよう(2)

みんなで「科学」しよう(2)
 
みんなで「科学」しよう(2)
 参加者から挙げられたテーマは,@作品の主題・筆者の意図,A人物の考えや行動,B作品から読み取れる事実,C文章構成,D作品に対する評価(人物の生き方に共感できるか,作品から何を学ぶかなど)の,大きく五つにまとめられました。関心の高かったAは,複数のグループを作り,全体で九つのグループに分かれて話し合いをすることになりました。
 グループでの話し合いに先立って,松木先生から,同じような興味・関心を抱いている者どうしでも,個々に考えていることは異なることを認識することが大事だというお話がありました。大きくくくれば同じ言葉で表せることでも,その背景にある子どもの考えは異なる,ということです。そのことを教師が受け止めておき,グループでの話し合いでみんながかみ合っていくよう助言していくことが必要だという言葉に,参加者のうなずく様子が多数見られました。
 そしてグループでの話し合い。わずか15分という短い時間でしたが,あらかじめ教材を読み込み,自分の追求したいテーマを明確にしていたこともあってか,どのグループでも活発に議論が繰り広げられ,発表用資料もあっという間に出来上がっていきました。
「百年後のふるさとを守る」学会を開こう  
「百年後のふるさとを守る」学会を開こう
 いよいよ,発表の時間です。熱のこもった話し合いの勢いそのままに,自分たちが何を・どのように追求したかが披露されていきました。グループの話し合いでは端的な言葉にまとめられなかったことを,聞き手に意見を求めてその場でまとめるなど,発表者と聞き手が一体となった学会となりました。
 教師が一律に引っ張ろうとすると,考えが一律になりがちだけれど,複数のテーマをそれぞれに追求していくと,見えなかったことが見えてきたり,自分たちの考えを補強するような別の角度からの考え方を見つけられたりするということが実感できた時間でした。
【講師の先生のひとこと】
松木正子先生  
松木正子先生
 国語の学習に「科学する」。しかも「○○学会での報告」。グループごとの課題学習に,こんな素敵なネーミングをしたのは黒田先生の柔らか頭です。おかげで,長くて手ごたえのある「百年後のふるさとを守る」という教材を,さまざまな視点で教材研究することができました。15分という無理と思えた時間の中で,先生方が濃密に話し合い,まとめてくださいました。どのグループの発表も素晴らしく,きっと明日の授業に生きることだろうと心強く思えました。先生方に拍手を送りたいと思います。ありがとうございました。
黒田英津子先生  
黒田英津子先生
 今年で5回目のワークショップでしたが,例年にも増して活発な意見交換がなされ,熱い時間を過ごすことができました。学会形式の学習のおもしろさを感じると同時に,子どもの学びを読み取り,学習の舵取りをする教師の役割の大切さを感じました。とても楽しい時間でした。ありがとうございました。