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 第5回大会のご報告

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講座U/「国語の授業を活性化する工夫について考える・中学校編」
 多感な中学生を目の前に,どうしたらもっと生き生きとした授業ができるだろうか。前半はお二人の講師のお話を中心に,後半はフロアの先生方からの質問に答えるかたちで,毎日の授業を活性化する工夫について考えました。

ワークショップの流れを紹介します。
「クイズ・季語ネア」!  
「クイズ・季語ネア」!
 「クイズ・ミリオネア」ならぬ「クイズ・季語ネア」から講座はスタートしました。参加の先生方はグループに分かれ,藤森先生の四択クイズに答えていきます。「春の七草に入っていない植物は?」という比較的易しい問題から,「田植えのおわりの目安とされた暦の言葉で,夏の季語と言えば何?」という難易度の高い問題まで,季語にまつわるさまざまなクイズが出題されました。「古典を堅苦しく考えず,楽しんでほしい」――そんな藤森先生の思いがつまったクイズに,会場は大いに盛り上がりました。
「人」に注目して授業をひらく  
「人」に注目して授業をひらく
 「中学時代は,人間関係への関心が最も高くなる時期と言えます。そのような時期に,『人』に注目させた,ことばの単元を設定してはいかがでしょうか」。冒頭で藤森先生は,参加者にそう投げかけました。
 特に,古典や説明文の教材を指導するとき,「仮名遣い」「段落構成」など,形式的なことに目がいきがちです。しかし,「人」に着目して読ませることで,いつもとは違った学習ができる……藤森先生は,その具体例を示して説明してくださいました。その一つが「プロファイリング法で読む説明文」です。説明文を読み,筆者の年齢・性別・家族構成・生活形態を,本文の叙述を手がかりに推理するという学習です。「筆者はどんな人なんだろう」と考えると,生徒たちは一字一句をしっかり読むようになるそうです。
楽しい国語学習のスタート  
楽しい国語学習のスタート
 「藤森先生と私の共通点は,いつも『おもしろいことできないかな,楽しいことできないかな』と考えていることなんです」と話す甲斐先生は,国語学習をスタートするときに大事にしていること,心がけていることを紹介してくださいました。甲斐先生は,学習の見通しや言葉に関するコラムなどをまとめた「国語教室通信」というプリントを月に数回作成し,子どもたちに配布しているそうです。今回は,最初の授業で配る「国語教育通信No.1」を見ながら,初めの授業でふれておきたい心得や活動などを説明してくださいました。
言葉と出会うために  
言葉と出会うために
 その後,24年度から使われる新版教科書1年の冒頭のページ「言葉と出会うために」を見せながら,「国語学習のスタートで,このページをうまく活用してほしい」と話されました。「子どもたちは,毎日たくさんの言葉にふれていますが,それだけは『出会った』とは言えません。言葉を『いいな』と思って意味を調べたり,書き留めたり,声に出して読んだり,友達とその言葉について話したり……ということがあって,初めて『言葉と出会った』と言えます。このページには,そういう内容がまとめられていて,入門期の導入にぴったりです」。
明日の授業へのヒント
















明日の授業へのヒント
 
明日の授業へのヒント
 後半はお二人への質問タイム。フロアからはさまざまな質問が出されました。
Q: 今回の学習指導要領では,2年の『書くこと』に,『詩歌をつくったり物語を書いたりすること』という言語活動が入りました。創作が苦手な生徒には,入門期からどのような指導をしたらよいでしょうか。
A: フィクションを楽しむという気持ちをもたせたいですね。私は「ウソ日記」というのを,子どもたちによく書かせます。新出漢字をなるべくたくさん使って,ウソの日記を書かせる,というものです。漢字の学習にもなりますし,フィクションを書く楽しさを子どもたちに味わわせることができます。
 また,1年生の頃から「描写する」ということを意識させるのも大事だと思います。「この教室の雰囲気をロマンチックに描写してごらん」などと投げかけたり,教科書の教材文を読んだ後に「描写しているところはどこ?」と聞いてみたり。そういう小さな学習を積み上げていくことが大事です。(甲斐先生)

Q: 生徒たちをさまざまな作品に出会わせたいと思っていますが,準備の時間がなかなかとれず,授業の中では教科書教材を教えるのが精一杯です。どうしたらよいでしょうか。
A: 教師が本を読んでいて,「本ってこんなに楽しいんだよ」と,普段から話題にできることが大事だと思います。私は以前,「徒然草」や「宇治拾遺物語」などの古典作品から,おもしろい話を取り出し,「古典の中のおばかさん」と題して,子どもたちに紹介したことがあります。そうやって,教師自身がおもしろがって作品を紹介することで,子どもたちは,教科書以外の作品へも興味をもつようになるのだと思います。(藤森先生)

 その他にも,さまざまな質問が出され,藤森先生と甲斐先生は,具体例を出しながら,丁寧に回答してくださいました。和やかな雰囲気の中,参加された先生方は熱心に耳を傾けていらしゃいました。
【講師の先生のひとこと】
藤森裕治先生  
藤森裕治先生
 全国各地からお集まりくださり,ありがとうございました。季節の変わり目は何かと気分が沈みがちなものです。特に秋が深まる時期はなおさらですね。このような時期に私どもの講座に参加された先生方が,少しでも「明日からがんばろう」というお気持ちになっていただけたら幸いです。癒やしの空間を演出していただいた甲斐先生に感謝申し上げます。
甲斐利恵子先生  
甲斐利恵子先生
 今回は「入門期」ということに絞ってお話しをしました。というのも,子どもたちとの出会いを大切にしたいと願っているからです。国語の授業って楽しいみたい,それにことばの力がつきそうだと思ってくれたらOKですね。お忙しい中参会していただいたみなさんと,楽しい授業をしたいという願いを共有できた時間でした。