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 第4回大会のご報告

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講座U/「国語の授業を活性化する工夫について考える・中学校編」
自由な時間がなかなか取れない中学校で,どうしたらもっと生き生きとした授業になるだろうか。前半はお二人の講師のお話を中心に,後半は悩み相談の時間を通して,授業を活性化する工夫や国語科という教科について考えました。
クイズ・オノマトペ!  
クイズ・オノマトペ!
「クイズ・ミリオネア」ならぬ「クイズ・オノマトペ」から講座はスタートしました。「風の又三郎」の「どっどど どどう」は何の音? ―― $1,000の問題から,「古事記」神代巻に出てくる矛の音を問う$10,000,000の問題まで。参加の先生方はグループに分かれ,藤森先生お手製の四択クイズに,声をそろえて「B!(風の吹く音)」と答えていきます。勝ち残ったグループは,オーディエンスとなったグループの意見も参考にファイナルアンサーを決定。最終的に,見事4グループが$10,000,000の笑顔と拍手で祝福されました。
伝統的な言語文化は楽しく学ぶ

伝統的な言語文化は楽しく学ぶ 図解
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伝統的な言語文化は楽しく学ぶ
学習指導要領に新しく入った「伝統的な言語文化」。藤森先生は,知識的なことを学ばせようとする前に,どうしたら楽しく学べるかを考え,「わくわくするゴール」を見せることが大切とおっしゃいます。クイズ・オノマトペだけでなく,逆引き辞典を使った和語の法則探しや,回文作り,文語調の創作文(左下図)など,遊び心満載のアイデアが次々と紹介されました。
こうした活動を通して,生徒はたくさんの日本語に触れ,言葉に敏感になっていきます。言葉と戯れる楽しさを,参加の先生方皆で満喫したスタートでした。
 
どんな先生がいい先生?  
どんな先生がいい先生?
次は,甲斐先生による「教師像」についてのお話です。生徒が求めているのはどんな先生か。甲斐先生は,「自分を伸ばしてくれる先生」がいいとおっしゃいます。この人といるとやりたいことがどんどん出てくる。そんな先生です。 そうなるためには,「難しそうだけれどできそう」なゴールを示すことが大切。「簡単だからできるよ」は生徒に失礼だと言われます。
また,音読でも作文でも,生徒にやらせる前にはまず「自分がやってみる」ことを課すという甲斐先生。生徒の側に身をおくことで,課題のどこが困難かがわかり,生徒のつまずきに応えることができます。
自分の状況を言語化すること  
自分の状況を言語化すること
続いては甲斐先生の体験談。合唱コンクールを前に,音楽の先生も匙を投げたクラスをどうするか。やる気のない生徒たちに,先生はスローガンを考えさせます。出てきた言葉は「がけっぷち!」。この一言でクラスの雰囲気が変わります。自分たちの「今」に言葉が与えられたことで,状況が見え,進むべき方向性を見出すことができたのです。
漠然とした思いや状況に言葉を与え,形にしていくこと。これは,生徒にとっても,また教師にとっても大切な作業と甲斐先生は言われます。自分の実践を言語化し,何が必要かを常に問いかけながら授業を作っていく。語りかけるような甲斐先生のお話に,先生方は水を打ったように静かに熱心に聞き入っておられました。
授業の工夫あれこれ  
授業の工夫あれこれ
後半は質問タイムです。「楽しい要約の授業がしたい。」「漢詩を楽しく扱うアイデアを知りたい。」「授業に臨む際のルールとは。」多様な質問に,「楽しいことが第一」とおっしゃるお二人がユーモアを交えて答えられます。授業の工夫例の一端をご紹介します。
  • 要約は,「要約せよ」と言わなくても,「つまり?」と聞くだけで促すことができる。「だれが・どうして・どうなった」といった観点を示し,昔話などの短文で練習させることも効果的。
  • 漢詩は,見立て(比喩)に着目し,取り合わせの妙に気づかせるとイメージが広がりおもしろい。複数人で一つの即席詩句を創作したり,暗唱や翻作(書き換え)をさせたりするのも有効。
国語科は人間関係作りの教科  
国語科は人間関係作りの教科
お話の中で,「国語科は人間関係作りの教科」という藤森先生の発言がありました。言葉を扱う教科だからこそ,子どもとの信頼関係を作ることと同時に,子どもどうしの信頼関係を作ることも仕事。甲斐先生が1年の4月に話されるという「あなたが考えたこと,書いたこと,話したことはすべて,みんなの財産」という言葉,そして大木実さんの詩「前へ」の朗読は印象的でした。
授業を活性化するアイデアから,国語科という教科の奥深さまで,さまざまな示唆を得られた二時間。和やかで楽しい雰囲気の中,お二人の講師の先生に温かい拍手が贈られました。
【講師の先生から一言】
藤森裕治先生  
藤森裕治先生
今回の講座で,授業が活性化するとはどういうことなのか,よりクリアに見えてきた気がします。
それは,こころ許せる人たちとともに間違いや失敗をおそれず学び合う日々が「ことば」になっていくこと。泣きたくなるほど忙しい時間の合間を縫ってご参加されたみなさま,ほんの少しでも元気を差し上げられていたら幸いです。
甲斐利恵子先生  
甲斐利恵子先生
お忙しい中参会していただいた方たちに,明日の授業に役立つ情報を,と思っていましたが,基本的な考え方のような話になってしまいました。愉快な藤森先生と一緒だったし,みなさんの熱意に支えられて,本当に楽しい時間を過ごせました。