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 第2回大会のご報告

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まとめの言葉/国語科の過去・現在・未来
国語科の成立は1900年にまでさかのぼることができます。この間の国語科の推移をたどってみると、極端な変化と同時に意外なほどの類同性が認められます。現在私たちが置かれている諸状況は過去のどのような時点の反復と見なしうるか、そして今後期待されるのはどのような可能性なのか。こうした問題意識に即して、1968年前後から2018年前後までの半世紀にわたる小・中学校の国語教育について、主として類同性の観点から考察します。
昨年度の課題から〜国語教育38年周期説をめぐって  
昨年度の課題から
〜国語教育38年周期説をめぐって
現在の国語教育を取り巻く状況と、38年(前後)前の状況が、それぞれ、ほとんど同じ動きをしているというのが昨年の話でした。昨年に続き、これまでの学習指導要領を例に「国語科の過去・現在・未来」についてお話ししたいと思います。
国語教育を考えていくうえで、「『生活』語彙を大切にする←→「『言語』に特化する」「子供たちの『今』を大切にする←→子供に伝えるべき『文化』を大切にする」「『他教科』との連携←→『国語科固有』の内容の追究」といった二項対立の関係を考察することが有効であると思います。学習指導要領も国語教室も、これまで、この二つの対立のうちどちらかにシフトしながら推移してきました。そうだとするならば、2008年の新学習指導要領には、どのような見込みが想定されるでしょう。
2008学習指導要領と1968・69学習指導要領との類同性  
2008学習指導要領と
1968・69学習指導要領との類同性
二分法で考えると、2008学習指導要領は、生活に生きる言語、子供の今、他教科との連携を大事にしている。これは、1968・69学習指導要領の内容とたいへん似たスタンスをとっていると思うのです(紀要P64〜67資料参照)。そして、注目すべき点は、2008年や1968・69年の学習指導要領には、話題・題材を選択する視点として10前後の項目を挙げてあり、それを選択する選択主がいるということです。
1977年学習指導要領を特徴づける理念  
1977年学習指導要領を特徴づける理念
2008学習指導要領は、平成期に入ってからの学習指導要領として、ある意味頂点に達したものと思われます。その次の学習指導要領を2018年と想定すると、その類同性は38年周期説に基づき、1977学習指導要領に見られるはずですから、そこから2018学習指導要領のスタンスを予測してみたいと思います。
1977学習指導要領は、先に述べた二分法でいうと、生活よりも言語それ自体に重きをおいています。話題・題材を選択する視点も挙がっていませんし、「話す・聞く」領域の時数も明示されていません(紀要P68〜69資料参照)。つまり、教師は、与えられた話題・題材で、可能な限り「読む」「書く」指導をすれば国語科として意味ある授業となる、と解釈でき、「話す・聞く」が周辺に追いやられたように読み取れてしまうのです。
2018年学習指導要領の行方〜二つの選択肢  
2018年学習指導要領の行方〜二つの選択肢
2018学習指導要領によみがえるかもしれない1977学習指導要領の考え方、その根拠は、今の国語教育界の状況が当時と似ているということにあります。「読む」ことは教科書教材をたどっていけば学習が成立しますが、「話す・聞く」ことは、ただ教材を読むだけではだめで、それぞれの教室で話題・題材を選択しなければ学習が成立しません。しかし、現在の国語教室でその時間を確保することが可能でしょうか。70年代の議論は、「読む・書くに集中し、それで学習が成立するのだから、時間がないならばその関連学習だけをしていけばいいではないか」ということでした。現在の国語教育の状況はどうでしょう。2018学習指導要領において、話題・題材を選択する視点など必要ないということになったら、それこそ38年周期説が生きてきたことになってしまいます(笑)。「話す・聞く」をどう教材化したらいいか本格的な議論と実践の蓄積が必要です。私たちは、「話すこと・聞くこと」領域を他教科に委ねるのか、それとも「国語科」の大切な仕事として意義ある単元を作り上げていくのか、その二つの選択肢の前に立っている、ということを申し上げてまとめの言葉とさせていただきます。