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 第2回大会のご報告

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記念講演/言語力=考える力を育むことばの教育
論理科カリキュラム開発校である安芸高田市立向原小学校とともに、書くことに力を入れている広島県内の小学校に論理科カリキュラムを導入し、子供たちの言語力がどう変化したかを検証した研究をご紹介します。その研究成果をもとに、すべての教科で言語力を育成するという目標を実践の場で実現するには、どのようにすればよいか提案させていただきたいと思います。
PISA調査と全国学力・学習状況調査の結果から  
PISA調査と全国学力・学習状況調査の
結果から
2000年、2003年、2006年と、OECDのPISA調査が行われ、その結果から、日本の高校一年生の生徒に欠けているのは、情報を読み取り、論証・論述する力、いわゆるPISA型読解力といわれる力であるということがわかりました。また、2007年と2008年の4月には、全国学力・学習状況調査が行われましたが、小中学生においても、知識・技能を活用して、思考し、表現する力に課題があるということがわかりました。
「言語力」を核に−全ての教育活動の基盤  
「言語力」を核に−全ての教育活動の基盤
現行学習指導要領国語科や、新学習指導要領では、言語力⇔国語力⇔論理力の部分を徹底して育てたいとしています。「言語力」は確かな学力をつけるための基盤となり、その力をつけるためには論理的思考の大切さを考えることが必要となります。国語科だけでなく、全ての教科において「言語力」を重視することが新学習指導要領を実体化する鍵となるでしょう。
PISA型読解力の実現化のために  
PISA型読解力の実現化のために
PISA型読解力をつけていくためには、@基礎的・基本的な事項の定着 A実生活の体験や既有知識を活用すること B自分の考えを書くことの大切さを見直すこと C言語技術の活用 などが必要です。これまでの学習では、覚えた知識をそのまま取り出す暗記が大事にされてきましたが、PISA型読解力が低下している今日、答えも一つ、答えに至る道も一つというような「収束的な思考」だけでなく、類推や、因果成分を働かせて映像的、言語的なイメージ世界を作り出すというような「拡散的な思考」も大事になってきます。
因果律か時系列か−「論理科」の開発と実践
 
因果律か時系列か−「論理科」の開発と実践
 
因果律か時系列か−「論理科」の開発と実践
広島県の学力調査検証改善委員会によると、「国語の平均正答率が高い学校は、結論先行型で根拠を挙げて意見を述べさせる指導に重点を置いたと回答している割合が大きい」とあります。日本人児童は、出来事の説明をほとんど「時系列」で行い、原因・結果を「だから〜」という接続形式で表現するのに対して、英語母語話者は、「因果律」を用いて、なぜか、と説明を展開するという特徴があります。結論先行型の言語形式は、論理力を育てるために必要ではないか。向原小学校による「論理科」カリキュラムの開発と実践は、結論先行型で根拠をあげて意見を述べさせる指導が、言語力・論理力にどのような効果を与えるかを検証するというもので、向原小学校や、広島県内の小学校の三年生、五年生を対象に一年間の実践が行われました。その結果、論理科教育を受けることで、因果的思考に効果があがる、時系列を用いるのではない、因果律、可逆的操作ができることが検証されました。
新しい知の創造−思考し、表現する力の育成  
新しい知の創造−思考し、表現する力の育成
思考し、表現する力の育成には、認知的葛藤の洞察が必要です。認知的葛藤とは、ほかの考え方と自分の考え方の違いを知ることであり、そこから学びのリフレクション(省察)が起き、新しい知の創造ということになるのです。 熊本大学付属小学校の理科の実践を紹介します。この実践では、「溶解」の科学的概念のない子供たちに、「塩田法」の手順を説明し、それぞれの手順はなぜ必要かを考えながら実験し、気づきや疑問をメモさせます。また、それらは共有することで互恵学習となります。子供の気づきに教師がゆさぶりをかけ、科学的概念への橋渡しが行われるのです。このとき、子供たちの討論の言葉や、仕組みにつながる気づきや疑問のメモなど、子供の認知的葛藤を見逃さないことが大事です。理科の授業であっても、言語力を活用しながら考える力を育てることはできるのです。
 
教育とは、共に育てる共育であり、協力して育てる協育です。仏は創られました。それに魂を込めるのは、先生方であり、そして、子供たちなのです。
ありがとうございました。