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 第1回大会のご報告 >> ワークショップE

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高木まさき(横浜国立大学・「ことばと学びをひらく会」会長)
 
このワークショップでは,今年4月24日に実施された「全国学力・学習状況調査」を実際に解き,問題から見えるこれからの読書指導の課題や,子どもたちに求められていく読む力とはどのようなものなのかを考えてみました。さらには,「読む」ということ,読解と読書の関係等についても探っていきました。
 
 
学力調査からみるリーディング
最近,「Reading」という言葉をよく耳にしますが,この言葉を単純な読み取りを指す「読解」や「読書」ととらえてしまうと,その読みは非常に狭いものになってしまいます。「Reading」とは,実はもっと多様で幅広い読み方を意味しているものなのです。その読み方を探るヒントの一つに「全国学力・学習状況調査」の問題が挙げられます。この学力調査を手がかりに,「読書指導」について考えてみることが,今回のワークショップのテーマです。
   
「全国学力・学習状況調査」について
今回の学力調査では,小学6年生と中学3年生を対象に,「知識」を問うA問題と,「活用」を問うB問題が出題され,本大会開催直前にその結果が公表されました。この調査は,これからの授業や入試に対して大きな批評性をもつものであり,また,今後の読書指導においても,読みの対象や読み方について見つめ直す非常に大きな手助けとなるものである,というお話に,会場の先生方も興味深そうにうなずいてらっしゃいました。
   
40年前の学力調査を解いてみる
昔の学力調査はどのようなものだったのか――。実際に参加者のみなさんに昭和41年の全国学力調査の問題を解いてみていただきました。内容は物語文と説明文。各問題に対する正答率が発表されるたびに,意外そうにうなずく姿が見られました。出題内容から,当時子どもたちに求められた読書とは,物語文や説明文を詳しく正しく読み取ることであったことが体感できました。
>>昭和41年の学力調査の問題は,こちらのPDFファイルをご参照ください。
   
今年の学力調査を解いてみる
次に,今年実施された学力調査を解いていただきました。今年の調査では,資料やグラフ,感想文やウェブサイト,広告,文学的作品など,非常に身近でかつ幅広い範囲からさまざまな素材をもとにした出題がなされています。特にB問題では,文章を比較して説明させたり,資料をもとに自分の考えを書いたりと,昭和41年問題と比較すると多様な読みが必要とされていることが,実感として分かりました。
   
「読書生活」をデザインすることの重要性
過去と現在との学力調査から,これからの読書には,「さまざまな本や情報をさまざまな読み方を通して比較・批判・関係づける力」が非常に重要であることが分かりました。難しいことのように思われますが,素材や読みの切り口は私たちの身の回りにあふれています。何をもとにどんな読みができるのか,これからは「読書生活」「読書指導」をデザインするという視点が必要になるのかもしれない。そう感じることのできた時間でした。